97式魚雷

97式魚雷（G-RX4）

97式魚雷は、海上自衛隊にのみ採用されている短魚雷であり、技術研究本部が開発しました。本魚雷は、1973年度から1984年度にかけて行われた防衛庁技術研究本部第5研究所のプロジェクトによって誕生しました。開発の初期段階では、G-RX3という名称で試作が行われていましたが、1981年度にアメリカ製Mk.46のライセンス生産が始まったことで、G-RX3の装備化は見送られることとなりました。

冷戦末期に入ると、ソ連の原子力潜水艦はより高い深度性能と速力を持つようになり、その対抗手段としてG-RX3の技術を基に新たな魚雷の必要性が浮上しました。このニーズに応えるために開発されたのが、97式魚雷（G-RX4）です。

主な特徴

97式魚雷は、アメリカ海軍のMk.50と同様に、リチウムと六フッ化硫黄の反応熱を活用した閉サイクル蒸気タービン機関を主機関として採用しています。この技術は、熱発生に伴う排気が不要で、深海での使用に適しています。推進方式としては、日本の魚雷として初めて1軸のポンプジェット式を導入しており、音響信号はデジタル処理されています。また、目標識別システムにはプログラマブルな要素があり、プログラミング言語にはAdaが用いられています。

さらに、97式魚雷は成形炸薬弾頭を採用しており、これは潜水艦の複殻式船殻に対応するための技術的革新です。ソナーは広帯域化されており、より高い精度での目標捕捉が可能となっています。

1985年度からは実際の研究試作が開始され、1989年度から本格的に開発が進められました。1994年度には実艦「いそしお」を使用した技術試験が行われ、1996年度までに実用試験が続きました。最終的に、1997年10月には本魚雷が制式化されました。

搭載運用

97式魚雷は、ひゅうが型以降の護衛艦に装備される68式3連装短魚雷発射管HOS-303および07式垂直発射[[魚雷投射ロケット]]に搭載されています。また、SH-60K哨戒ヘリコプター及び一部改修を施したP-3C哨戒機にも搭載されています。

さらに、本魚雷の技術を生かして、新しい誘導部を中心に機材を更新した12式[[魚雷]]（G-RX5）が開発され、2012年には部隊使用承認を受けています。97式と12式の部品共有度は約38%であり、廃棄処分される97式の部品再利用も検討されているとのことです。

文化的影響

97式魚雷は、いくつかの作品に登場しています。例えば、ライトノベル『日本国召喚』では、護衛艦「たかなみ」の搭載兵器として描かれ、敵潜水艦への攻撃に使用されます。また、『ルーントルーパーズ 自衛隊漂流戦記』にも、異世界に飛ばされたイージス護衛艦「いぶき」の武器として登場します。

このように97式魚雷は、技術的革新だけでなく、文化面でも日本の自衛隊の存在感を強調する要素となっています。

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