A SAINT IN THE NIGHT

『A SAINT IN THE NIGHT』

『A SAINT IN THE NIGHT』（ア・セイント・イン・ザ・ナイト）は、日本の著名な歌手沢田研二が1991年12月4日に東芝EMIからリリースしたカバーアルバムです。このアルバムは、ジャズや映画音楽などのスタンダードソングを集めた企画作品であり、沢田の独自の解釈による新しい息吹が吹き込まれています。

アルバムの背景

本作は、1984年に沢田が同様のコンセプトで制作した「AMAPOLA（アマポーラ）」の延長線上に位置しています。当時、この曲は日本語の歌詞とフルオーケストラの演奏によって、新たなスタンダードとして生まれ変わりました。本アルバムでは、歌詞が覚和歌子によって書き下ろされ、それぞれの曲のタイトルも、一般的に知られている邦題とは異なる新たなものに改められています。これにより、メロディーは元のスタンダードを踏襲しつつも、全体としてはオリジナルに近い様相を呈しています。

演奏とコンサート

アルバムのすべての楽曲は、編曲を担当した服部隆之の指揮により収録されており、フルオーケストラによる豊かなサウンドが魅力です。また、沢田の透き通るようなメロディックな歌唱が特徴的で、聴く者を優しい気持ちにさせる力を持っています。アルバムリリース時には、東名阪でコンサートも開催され、服部が指揮を執ったフルオーケストラの演奏で観客を魅了しました。その際、バックバンドのJAZZ MASTERからは村上ポンタ秀一が参加し、ピアニストの佐山雅弘とも初の共演を果たしました。

歌詞制作とプロデューサー

歌詞を担当した覚和歌子は、沢田との旧知の仲であり、プロデューサーの吉田建の推薦によりこの作品で初めて彼に詞を提供しました。後に、次作となる『Beautiful World』でも全ての歌詞を担当することになります。また、アルバムリリース時には、缶紅茶が流行し「紅茶天国」とのタイアップも検討されましたが、実現には至りませんでした。

収録曲

アルバムには以下の楽曲が収録されています。

• - 誰かが僕をみつめてる（作詞:アイラ・ガーシュウィン、作曲:ジョージ・ガーシュウィン）
• - 薔薇の行方（作詞:Jimmy Davis/Roger'Ram'Ramirez/Jimmy Sherman、作曲:Jimmy Davis/Roger'Ram'Ramirez/Jimmy Sherman）
• - あなたにはかなわない（作詞:Irving Berlin、作曲:Irving Berlin）
• - 愛の機械（作詞:Norman Petty/バディ・ホリー、作曲:Norman Petty/バディ・ホリー）
• - この惑星の終わりに（作詞:Herman Hupfeld、作曲:Herman Hupfeld）
• - 昼下がりの情事（作詞・作曲:F.Dmarchetti）
• - 愛してからでは遅いよ（作詞:Lee Adams、作曲:Charles Strouse）
• - 天使になれない（作詞:Arthur Hamilton、作曲:Arthur Hamilton）
• - 夜の聖者（作詞:Warren Allen Brooks、作曲:Warren Allen Brooks）
• - 紅茶天国（作詞:Irving Caesar and Otto Harbach、作曲:Vincent Youmans）
• - 昨日のエデン（作詞:Lee Adams、作曲:Charles Strouse）
• - ロータスの子守歌（作詞:Sylvia Fine、作曲:Sylvia Fine）

全曲の歌詞は覚和歌子が手掛け、編曲は服部隆之が担当しています。本作を通じて、沢田研二の歌声に新たな魅力が加わり、スタンダード曲たちが色とりどりの音楽として生まれ変わったのです。

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