A代表 (ラグビー)

ラグビーユニオンにおけるA代表

ラグビーユニオンにおいて、A代表とはナショナルチームにおけるカテゴリーの一つです。これは、その国の正代表（シニアの15人制代表チーム）に次ぐカテゴリーとして位置づけられており、しばしば「準代表」や「セカンドチーム」などとも呼ばれます。サッカーなどで「A代表」が通常、その国の最強メンバーで構成される正代表を指すのに対し、ラグビーにおけるA代表は、主に将来有望な若手選手や、正代表に選出されなかったものの実力のある選手で構成されるチームを指す点で異なります。

ワールドラグビーの規定とA代表

A代表の存在は、ワールドラグビーの「競技に関する規定」において、選手の代表資格を定める上で重要な意味を持っています。この規定には、「一国のシニアの15人制代表チーム、またはそのすぐ下のシニアの15人制代表チーム、もしくは、シニアの7人制代表チームでプレーしたプレーヤーは、他の協会のシニアの15人制代表チーム、または、そのすぐ下のシニアの15人制代表チーム、もしくは、シニアの7人制代表チームでプレーすることはできない」と定められています。

ここでいう「そのすぐ下のシニアの15人制代表チーム」こそが、各国のA代表に該当します。ワールドラグビーは、代表資格の明確化を図るため、傘下の各国・地域協会に対し、この「そのすぐ下のシニアの15人制代表チーム」の正式名称を届け出ることを義務づけています。多くの協会は、国・地域名に「A」を付加した名称を届け出ていますが、中には独自の名称を用いるケースもあります。例えば、ニュージーランドはかつて「ジュニア・オールブラックス」として活動し、2022年からは「オールブラックスXV」という名称を届け出ています。また、イングランドは「イングランド・サクソンズ」をA代表としています。

A代表は、正代表と同様に基本的に年齢制限はありません。かつては年齢別代表であるU20代表をA代表として届け出る協会もありましたが、2018年以降、これは禁止されています。

A代表の試合は、実力が近い他の国のA代表との対戦や、格上の国のA代表と格下の国の正代表との対戦など、様々な形式で行われます。また、正代表が他国へ遠征した際に、テストマッチ（キャップ対象試合）の合間に相手国のA代表と対戦する強化試合が組まれることもあります。一部の国では、A代表の下にさらにB代表が編成される場合もあります。

日本におけるA代表

日本ラグビーフットボール協会においては、正代表（日本代表）のキャップ非対象試合において、「JAPAN XV（ジャパン・フィフティーン）」という名称が使用されることがしばしばあります。ただし、注意が必要なのは、「JAPAN XV」という名称が常にA代表のみを指すわけではない点です。中には、重要な強化試合として、正代表のメンバーが中心となって構成されながらも、キャップ非対象とするために敢えて「JAPAN XV」というチーム名を用いるケースも存在します。このような場合、チーム名を「日本代表」とすることもあります。

かつてのA代表「ジュニア・ジャパン」

2012年度から、日本ラグビー協会は若手選手育成プロジェクトとして「ジュニア・ジャパン」プログラムを始動させました。これは主にU23以下の選手で構成され、日本の「A代表（第2代表）」としての役割を担いました。2013年からは「パシフィックラグビーカップ」に参加し、この大会は後に「ワールドラグビーパシフィックチャレンジ」へと名称を変え、現在も開催されています。ジュニア・ジャパンは、この大会で他の国・地域のA代表や代表候補チームと対戦することで、若い選手に国際経験を積ませる重要な機会となっていました。特に2020年にはワールドラグビーパシフィックチャレンジで初優勝を飾りましたが、これを最後にジュニア・ジャパンとしての活動は一旦終了しました。その後、2023年にはU20日本代表が「ジュニア・ジャパン」の名称でワールドラグビーパシフィックチャレンジに出場しましたが、この年を最後にチーム名は変更されています。

現在のA代表「JAPAN XV」

2024年現在、日本のA代表として位置づけられるチームの一つに「JAPAN XV」があります。特に、ワールドラグビーがA代表の育成大会と位置づける「ワールドラグビーパシフィックチャレンジ」には、「JAPAN XV」として参加しています。この大会では、23歳以下の選手23名と、18歳以上で年齢を問わない5名の選手という、特定の構成要件が定められており、主にU20日本代表チームをベースとした編成となっています。

このように、現在の日本では、実質的に二種類の「JAPAN XV」が存在すると言えます。

年齢が正代表に近い「JAPAN XV」: キャップ非対象の強化試合など、正代表のバックアップメンバーや経験豊富な選手も含まれる編成。
若い選手による「JAPAN XV」: ワールドラグビーパシフィックチャレンジなど、主に若手選手の育成に重点を置いた編成（U20主体＋年齢不問枠など）。

これらの違いを理解することは、日本ラグビーにおけるA代表の役割や位置づけを把握する上で重要となります。A代表は、正代表へのステップアップを目指す選手にとって貴重な経験の場であり、その国のラグビーの将来を支える重要なカテゴリーと言えるでしょう。

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