A-3 (航空機・日本)

A-3遠距離偵察機の概要

A-3は、大日本帝国陸軍によって試作された遠距離偵察機です。この機体名の「A」はフランス式の命名法に基づき、「3」は三座を意味しています。開発は所沢陸軍航空学校研究部が主導し、同機は時に「校式A-3」と呼ばれました。

開発の背景

1922年、大正11年に所沢陸軍航空学校研究部は、新しい遠距離偵察機を開発する計画を立てました。このプロジェクトには、フランスから来日した技師アントワーヌ・ド・ボアザンをはじめ、6名の技師が参加しました。彼らは日本人の技師たちと協力し、同年の4月に設計作業をスタートさせました。

しかし、制作が進む中で、関東大震災の影響を受け、プロジェクトは大幅に遅延しました。最終的に試作機が完成したのは1924年の2月であり、これがA-3の第一号機です。その後、所沢や各務原で飛行試験が行われましたが、多くの問題が発覚しました。特に、主脚車輪の緩衝装置の破損や、機体が重すぎること、エンジンのパワー不足が目立ち、性能は期待したものには届きませんでした。そのため、この機体は実用化されることなく、開発は終了しました。

機体の特徴

A-3の設計は、当時としては先進的であり、全体はジュラルミン製の骨組に羽布張りの構造を持っています。また、一葉半の双発複葉機であり、上翼は後退翼に設計されていました。しかし、エンジン架の構造に欠陥があり、これが振動の原因となり、操縦に困難をもたらしました。

故障した主輪に対応するため、あらかじめ用意されていた予備部品がない中、より小型の乙式一型偵察機の車輪を使用するという improvisation が行われました。また、当初はラトウ式ターボコンプレッサーの装備を予定していましたが、これも実現せず、後の試製三型戦闘機にそのアイデアが引き継がれました。

諸元

本機の詳細な諸元は以下の通りです:

• - 全長: 16.00 m
• - 全幅: 21.00 m
• - 全高: 5.275 m
• - 主翼面積: 85.0 m2
• - 自重: 2,000 kg
• - 全備重量: 3,000 kg
• - エンジン: 三菱 イスパノ・スイザ 水冷V型8気筒 (離昇320 hp) × 2
• - 最大速度: 200 km/h (ターボコンプレッサー装備時予定: 245 km/h)
• - 実用上昇限度: 7,500 m (ターボコンプレッサー装備時予定: 9,500 m)
• - 航続時間: 5時間
• - 武装: なし
• - 乗員: 3名

このように、A-3はその時代の航空機の中でも先駆的な設計を示しましたが、数々の問題からあえなく実用化を果たせずに終わりました。それでも、そのコンセプトは後の司令部偵察機に受け継がれており、技術的な意義を持っていることは特筆すべき点です。

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