A-36 (航空機)

A-36 アパッチ (North American A-36 Apache)

ノースアメリカン社が開発したA-36アパッチは、第二次世界大戦中にアメリカ陸軍航空隊（USAAF）によって採用された攻撃機です｡正式名はアパッチですが、実戦では「インヴェイダー」や「マスタング」といったニックネームでも親しまれました。この機体は急降下爆撃機としての役割を担い、P-51戦闘機の派生型として設計されました。

概要

A-36アパッチは、P-51の初期モデルの設計を基にしており、アリソン製V-1710エンジンを搭載しています。主翼には新たにダイブブレーキが追加され、急降下しての爆撃を可能にしていました。初期のA-36Aモデルは500機が生産され、1944年には第一線での任務を終えましたが、北アフリカや地中海、イタリアなど、多くの戦線で活躍しました。

開発の経緯

1942年2月、イギリス空軍にマスタングIが配備され、低空偵察と地上部隊支援の任務に就きました。ノースアメリカンの社長ジェイムズ・ハワード・キンデルバーガーは、アメリカ陸軍航空軍にもこの機体を売り込むために働きかけました。また、当時の予算事情を鑑み、急降下爆撃機としての開発が進められました。この結果、A-36の納入契約が1942年に締結され、爆弾懸架装置とダイブブレーキを装備することが決定されました。

初号機は1942年に完成し、各種試験を経て部隊に配備されました。A-36Aは6挺の12.7mm機銃を装備し、強力な火力を持っていました。エンジンは高地で出力が低下する特性を持っていましたが、それでも十分な性能を発揮しました。

実戦運用

A-36Aはトーチ作戦に参加し、1943年には第27戦闘爆撃部隊および第86戦闘爆撃部隊に配備されました。これらの部隊はシチリア侵攻において地上部隊の支援を果たし、A-36Aはその名を知られることとなりました。業務の中で、A-36Aは84機の敵機を撃墜し、その中にはエース・パイロットも誕生しました。

一方で、急降下爆撃の任務は高リスクを伴い、多くのA-36Aが撃墜されました。特に冷却システムの脆弱性や高高度での性能劣化が損失を増加させる要因とされていました。1944年までには、他の機体に役割を譲ることとなりました。

A-36Aは太平洋戦線でも活動しましたが、同戦線でのパフォーマンスは目立った成果を上げるものではありませんでした。戦後、残存する機体は練習用としても活躍しました。

機体評価

A-36Aは急降下爆撃機としての成功を収め、多くの点で高評価を受けました。ただし、ダイブブレーキの展開に関する問題や事故が発生し、安全性に関する懸念があったことも事実です。それでも、爆撃精度や安定性の面で高い効果を示したとされています。

主要諸元

• - 乗員: 1
• - 全長: 9.83 m
• - 全高: 3.71 m
• - 翼幅: 11.28 m
• - 運用時重量: 4,535 kg
• - 動力: アリソン V-1710-87 液冷V型12気筒
• - 最大速度: 590 km/h
• - 武装: 12.7mm機銃6挺、爆弾最大500ポンド

A-36アパッチは、第二次世界大戦の重要な局面で地中海戦線などで顕著な戦果を挙げ、その名を歴史に刻む機体となりました。

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