A2D (航空機)

A2D スカイシャーク（Douglas A2D Skyshark）

A2Dスカイシャークは、アメリカ合衆国のダグラス社がアメリカ海軍のために設計した艦上攻撃機です。そのユニークな愛称「スカイシャーク」は「空の鮫」を意味しており、この機体は特異な発展を遂げましたが、最終的には量産されずに終わりました。

開発の背景

1945年に、A-1スカイレイダーの原型機であるXBT2D-1が初めて飛行したわずか後に、A2Dの開発はスタートしました。1947年の9月25日には、初めての試作機であるXA2D-1が発注され、2機が製作されました。1950年3月26日には、最初の試作機が空を舞い、期待が高まりました。

A2DはA-1から多くの部品が流用されましたが、エンジンや胴体の設計変更により、性能向上が図られました。特に、新型のアリソン社製XT-40ターボプロップエンジンが搭載されたことで、飛行性能は大幅に改善される見込みでした。その結果、A2D-1としての生産が決定され、300機以上の発注がなされました。

技術的な特徴と問題点

しかし、搭載されたXT-40エンジンは、その構造の複雑さから信頼性に欠けるものでした。このエンジンは、ガスタービン2基を並列に配置し、減速ギアボックスを介して一つの軸でプロペラを回すという仕組みを取っていましたが、そのため振動や減速ギアの加熱といった問題が頻発しました。

特に重大だったのは、試作初号機が1950年12月に墜落し、生産2号機も1954年8月5日に同じ運命をたどったことです。試作2号機ではエンジンの換装も試みられましたが、改善には至りませんでした。最終的に、アメリカ海軍は1952年にこの試作機の開発を中止し、新たなA4Dスカイホークの開発をダグラス社に求めることとなりました。

結果と評価

海軍との開発契約が解除された後も、XT-40エンジンに関する改良の計画はしばらく続けられましたが、実用化には至りませんでした。A2Dスカイシャークの生産機数は、試作型のXA2D-1が2機、量産型のA2D-1が10機という非常に限られたものでした。

まとめ

A2Dスカイシャークは、アメリカ海軍向けに設計された艦上攻撃機の一例ですが、技術的な課題や信頼性の問題から、実際には採用されることはありませんでした。最大限の性能を追求した設計であったものの、最終的には開発が中止されてしまったこの機体は、軍用航空機の歴史の中で一つの教訓を残す存在となりました。

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