ACCESS II

access 『ACCESS II』

accessのセカンドアルバム『ACCESS II』は、1993年9月22日にファンハウスより発表されました。

本作は前作『DELICATE PLANET』に続く25.5万枚という高いセールスを達成し、その年の第35回日本レコード大賞ベストアルバム賞を受賞。accessの商業的成功と音楽的な評価を確固たるものとした重要な作品です。

タイトルに込められた意味

アルバムタイトル『ACCESS II』（セカンド・アクセス）には、単にグループにとって2枚目のアルバムであるという意味を超え、「ギアがセカンドに入り、音楽性がさらにスピードアップした」「秒速レベルで加速するaccessの進化を感じてほしい」という、バンドの勢いと未来への意欲が込められています。

独特の制作スタイル

本作の制作は、事前に明確なコンセプトを固めるより、スタジオでの即興的なセッションや「ライブ感」を重視するという独特なアプローチが取られました。デモテープは一切制作されず、浅倉大介が楽曲を作り上げると同時にアレンジも固まるという手法が取られたため、ボーカルの貴水博之に楽曲が渡される段階では、既にバックトラックが完成している状態でした。貴水はこのプロセスを「歌詞が考えやすく、イメージも膨らませやすい」と高く評価しており、その独特の制作体制が創造性を刺激したことがうかがえます。

作詞における挑戦

貴水博之による作詞作業は、楽曲の性質によってアプローチを変えました。ダンス色の強いトラックには、これまでのaccessにはなかったスケールの大きな言葉を選び、地球全体を見渡すような壮大な世界観を歌詞に乗せました。一方、ラブソングについては、より伸びやかで広がりを感じさせる言葉を意識しました。これらの歌詞は、浅倉が作り上げたサウンドから受けたインスピレーションを、貴水が独自の解釈で昇華させる形で紡ぎ出されたものです。

サウンドプロダクションへのこだわり

サウンド面では、世界的エンジニアとのコラボレーションが実現しました。ミキシングはロサンゼルスで、フィル・カッフェルが手がけました。これは浅倉が自身のソロアルバム制作時に共に作業した際の音色とインパクトが忘れられず、彼の指名によるものでした。浅倉は「ハードな感じに」という大まかな指示を出したのに対し、貴水は「歌詞はこういう内容だから」と、より細かいニュアンスを伝えるよう努めました。日本語の歌詞が海外のエンジニアにどこまで伝わるかという不安もあったそうですが、完成した音源に表現された想像を超えた残響を聞き、二人は「やってもらってすごくよかった」と、その仕上がりに感嘆したといいます。マスタリングは、CDに収めきれないほどのビット数をも扱える高い技術力で評判だったブライアン・ガードナーが担当し、アルバムの音質をさらに高めています。

リリースと再発売

初回限定盤にはオリジナルポストカードが2枚同梱されました。リリースから20年後の2013年9月11日には、ソニー・ミュージックダイレクトより全曲リマスタリング、高音質仕様のBlu-spec CD2として再発売され、再び注目を集めました。

クレジット表記の特異性

本作のクレジットでは全曲「作詞・作曲：AXS」と表記されていますが、日本音楽著作権協会（JASRAC）のデータベースには、「I SING EVERY SHINE FOR YOU」の作詞者として井上秋緒の名前が登録されています。これはaccessの楽曲において、ボーカルの貴水博之が作詞を手掛けていない初めてのケースとして特筆されます。

収録曲の特徴

アルバムには、先行シングルとして発表された「NAKED DESIRE」と「MOONSHINE DANCE」が、いずれもアルバムバージョン「THE ENTERPRISE MIX」として収録されています。これらはシングル版とは異なり、よりハードなギターサウンドや、広がりと奥行きを増したシンセサイザーアレンジが施されています。「NIGHT WAVE (ORIGINAL AXS VERSION)」は、ニッポン放送のラジオ番組テーマ曲として作られ、「電波の速さで心が通じ合う」というテーマが歌詞に反映されています。「I SING EVERY SHINE FOR YOU」は、前述の通り井上秋緒が作詞を手掛けた楽曲で、8分の6拍子（または4分の3拍子）のバラードです。「心の移り変わり」や「離れていても通じ合う気持ち」が主題となっています。「JUNGLING PARTY」はサンバのリズムを取り入れ、「都会」と「ジャングル」を対比させるような歌詞や、貴水のボイスパーカッションが特徴的なナンバーです。他にも、「失恋の中にある大切な思い出」を描いた「ENDLESS SUMMER 〜君が滲んだ夏〜」や、「大人になるにつれて忘れてしまう大切なもの」を歌った「MARMALADE DAYS」、独特のリズムを持つ「MARMALADE DAYS」、時間や時空を超えた世界観を表現した「JULIET」、ファンへの感謝を伝える「S-MILE GENERATION」など、多彩な楽曲が収められています。ギタリストとして葛城哲哉や北島健二も参加し、サウンドに彩りを加えています。

もう一度検索