ADVANTAGE (アルバム)

アルバム『ADVANTAGE』の概要

『ADVANTAGE』（アドヴァンテージ）は、シンガーソングライターさだまさしが1985年6月12日にリリースしたオリジナルのソロアルバムで、彼の10作目にあたります。このアルバムは、前作『Glass Age ―硝子の世代―』からおよそ半年後に発表されたものであり、さだまさしの作品の中でも特にハイスピードなリリースとなった作品です。

このアルバムの特徴として、通常は楽曲解説が添えられているライナーノートの代わりに、さだ自身が書いた短編小説やエッセイが収められています。さだは「歌の主題とは全く関わりなく、題名に触発される異次元の自分を試したくなった」とコメントしており、彼にとって新たな挑戦となったことが伺えます。この形式は後に『自分症候群』という新潮文庫にも収められることになります。

また、本作はCD時代の到来を迎えた中で、CDとLPの両方のフォーマットで発売された初めてのオリジナルアルバムでもあります。LPのジャケットデザインも従来とは一線を画し、タスキが無く、シュリンク包装が施されていて、赤いステッカーには「これは、さだ まさしのレコードです。 アドヴァンテージ」と記載されています。

さらには「ま」くじという宝くじ様のくじが特典として付属し、景品が当たる仕組みとなっていました。

収録楽曲について

Close Your Eyes - 瞳をとじて

この楽曲は悲しみにくれる恋人を慰める内容で、後にチキンガーリックステーキによるカバーも行われました。

記念樹（メモリアル・トゥリー）

オリジナルは1983年に発表されたもので、本作ではさだ自身がセルフカバーを行っています。

坂のある町

この曲はさだまさしの故郷、長崎の風景を歌ったものです。

まんまる

この楽曲は吉川忠英が編曲を手掛けており、特徴的な音色を持っています。

軽井沢ホテル

1985年3月にはシングルとしてリリースされたこの曲は、軽井沢での思い出を振り返る内容となっており、さだは曲中で軽井沢音楽祭についても触れています。

O.K!

エレキギターやシンセサイザーが多用され、盛り上がりを見せるライブでも人気のある楽曲です。ピーター・パンをモチーフにした歌詞が特徴で、特製の歌詞カードにはさだ自身の手描きによるイラストが添えられています。

渚にて -センチメンタル・フェスティバル

この楽曲は「渚でのラヴ・ソング」と名付けられ、短編小説『渚にて』が解説として付けられています。

夢

シングル「軽井沢ホテル」のB面に収録された曲で、さだはその制作過程で奇妙な体験を語っています。

桐の花

恋人への複雑な思いを綴ったこの楽曲は、愛と恨みの感情が交錯する内容です。

おむすびクリスマス

クリスマスのささやかな幸せを語る心温まる楽曲で、時期には不釣り合いなストーリーが印象的です。

参加ミュージシャンと制作

このアルバムには多くの才能あるミュージシャンが参加しており、さだまさしがリードボーカル及び複数の楽器を担当しています。特に、吉川忠英がアコースティックギター、今剛がエレキギター、山田秀俊がピアノを演奏しています。また、多彩なシンセサイザーとともに作曲に参加した渡辺俊幸の存在も見逃せません。

アルバム『ADVANTAGE』は、さだまさしの音楽的探求心が垣間見える作品であり、彼の独自の感性が詰まった名盤として今も多くの人に親しまれています。

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