AG-ONE

AG-ONE（エイジーワン）

株式会社AG-ONEは、インターネットサービスを展開するドワンゴと、放送局である文化放送が共同で設立した合弁会社です。アニメ、ゲーム、そして声優といったエンターテインメント分野に特化し、ウェブコンテンツの配信、ラジオ番組の制作、さらには人材育成を目的とした養成学校の運営や、タレントのマネジメントを行う芸能事務所の経営など、幅広い事業を手掛けていました。自らを「アニメ・ゲームのオールインワンカンパニー」と称していましたが、最終的には2011年に株式会社 5pb.と合併し、その歴史に幕を閉じ、株式会社 MAGES.へと社名が変更されました。

設立とその背景

AG-ONEは2006年 7月7日に誕生しました。設立に際しては、ドワンゴが40%、文化放送が40%（うち子会社のセントラルミュージック分が10%）、そしてピクチャーマジックが20%を出資しています。その後、角川グループに属するメディアワークス（後のアスキー・メディアワークス）や、フィギュアメーカーとして知られるグッドスマイルカンパニーからも第三者割当増資を通じて資本を受け入れ、資本基盤を強化しました。

文化放送は、長年にわたりアニメやゲームに関連するラジオ番組（A&Gゾーン）を放送してきた実績があり、この分野におけるコンテンツ力と人脈を培っていました。その強みを活かし、2006年春にはラジオパーソナリティや声優などを育成する「A&Gアカデミー」を古舘プロジェクトと共同で開講するなど、事業拡大を模索していました。一方、携帯電話向けの多様なコンテンツ配信で成長していたドワンゴとは、文化放送のA&G番組とドワンゴの携帯サイト「アニメロミックス」の連携や、合同での大型ライブイベント「Animelo Summer Live」（アニサマ）の開催などを通じて、協力関係を深めていました。こうした両社の関係強化と、互いの強みを融合させることによるさらなる発展の可能性を見出し、合弁会社の設立に至ったのです。設立当初の社長はセントラルミュージック出身の大口豊氏が務めましたが、後にピクチャーマジックの中西孝氏が引き継ぎました。

事業の拡大と変遷

設立当初から、AG-ONEはドワンゴと共同で携帯・PC向けサイト「超!アニメロ」を運営し、アニメやゲーム関連の音楽・コンテンツ配信を行いました。また、セントラルミュージックから一部事業を引き継ぎ、文化放送A&Gゾーンを中心としたアニメ・ゲーム関連のラジオ番組制作も手掛けました。

事業は設立後、段階的に拡大していきます。2008年には、設立当初から協力関係にあったピクチャーマジックを完全子会社化し、アニメーション制作の内製化を進めました。さらに、2010年4月には、ドワンゴの完全子会社であったドワンゴプランニングアンドディベロップメントを吸収合併しました。これにより、声優や歌手の育成・マネジメントを行う「ドワンゴクリエイティブスクール」と「ドワンゴアーティストプロダクション」の運営、そして「Animelo Summer Live」の企画・運営事業を引き継ぎ、事業領域が大幅に広がりました。この合併やその後の増資により、設立当初と比較して資本金は約5倍に増加しています。

また、AG-ONEは2010年4月にゲーム会社である株式会社 5pb.に資本参加し、グループに加えました。そして、翌2011年6月1日、AG-ONEを存続会社として5pb.を吸収合併することが発表され、新会社「株式会社 MAGES.」が発足しました。合併後のMAGES.では、5pb.の社長であった志倉千代丸氏が代表取締役社長に就任し、AG-ONE社長だった中西孝氏は代表取締役副社長となりました。この合併後も、旧AG-ONEと旧5pb.それぞれのブランドや事業は維持され、MAGES.はゲーム、音楽、イベント、タレントマネジメントなど、より多角的なエンターテインメント企業として活動を続けることになります。

その他の側面

AG-ONEは、アニメ・ゲーム関連イベントの企画・運営（代表的なものにAnimelo Summer Live）、養成スクール（ドワンゴクリエイティブスクール）、タレントマネジメント（ドワンゴアーティストプロダクション）、ラジオ番組制作、ライセンス事業、映像・音楽事業（Peertone、LinkStageレーベルなど）、ホビー・マーチャンダイジング事業（ニコニコ直販など）など、多岐にわたる事業を展開していました。

設立当初の本社は文化放送本社ビル近くの浜松町にありましたが、2010年頃にドワンゴクリエイティブスクールなどと同じ千代田区三崎町のビルに移転しています。MAGES.発足後もしばらくは登記上の本店所在地となっていました。

AG-ONEの設立には、上記株主企業のほか、エイベックスネットワーク、キングレコードスターチャイルドレコード、ジェネオンエンタテインメント、マーベラスエンターテイメント、ランティス、リアライズレコードといった企業が賛同企業として名を連ねていました。その短い歴史の中で、AG-ONEは様々な企業との連携や合併を繰り返し、日本のコンテンツ業界における一翼を担った企業でした。

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