AGM-88 (ミサイル)

AGM-88 HARMミサイル

AGM-88は、アメリカ海軍のNWCとテキサス・インスツルメンツ社によって開発された対レーダーミサイルで、現在はレイセオン社が生産しています。このミサイルは、敵のレーダーおよび防空システムを無力化するための主要な手段として利用されています。

概要

AGM-88は、アメリカ軍に加えて、さまざまな同盟国によっても運用されています。このミサイルは、地対空ミサイルやレーダーシステムから発信される電波を探知し、敵の防空網を制圧するために設計されています。最初のモデルであるAGM-88は、AGM-45シュライクやAGM-78スタンダードARMの後継として開発されました。その後、テキサス・インスツルメンツ社からレイセオン社へと生産が移行しました。

発展系

AGM-88のA-D型までは「HARM」（高速対輻射源ミサイル）として知られていますが、最新のE型は「AARGM」（先進対電波源誘導ミサイル）と名付けられています。このAARGM型は、最新の技術が組み込まれており、敵レーダーを精密に攻撃することを可能にします。

構成要素

AGM-88は、誘導ミサイル、LAU-118(V)1/Aランチャー、専用の電子機器から構成されています。これにより、ミサイルは効果的に敵のレーダーを追尾し、攻撃することができます。特に、発射航空機の位置と高度に基づき、敵レーダーから発信された電波を分析し、それに基づいて誘導されます。

誘導部

ミサイル先端に位置する誘導部には、パッシブ・レーダー・ホーミング方式が採用されています。このため、敵のレーダー波を探知してその電波の特徴を解析できる能力があります。AGM-88D型からは、GPS支援慣性誘導装置が追加され、精度が向上しました。これにより、敵レーダー波の発信が停止した場合でも、誘導精度の向上が図られています。

弾頭部

AGM-88の弾頭部は、炸薬によって金属片を飛散させる爆風破砕弾頭です。破砕弾頭は、レーダー施設を破壊するだけでなく、誘導装置を確実に破壊する設計になっています。これは、敵に自軍の技術情報を漏らさないための重要な機能です。

制御部および機関部

制御部には全浮動式動翼が装備されており、ミサイルを正確に操舵するためのアクチュエーターなどが含まれています。ロケットモーターは、固体推進剤を使用しており、最大でマッハ2を超える速度に達します。この高速度が、発射される航空機を安全に保つ要素となっています。

運用と歴史

AGM-88は1969年に開発が始まり、1985年には作戦能力を獲得しました。その後、各型式の改修が進められ、これまでに数回の改良が行われました。特に、湾岸戦争では約2000発が使用されるなど、実戦でもその効果を示しました。最近では、ウクライナへの供与も行われ、国際的な影響力を持つ兵器となっています。

結論

AGM-88は、その発展的な技術と運用能力により、現代の戦争において重要な役割を果たしています。敵防空網を迅速かつ効率的に制圧するためのミサイルとして、その技術の進化が期待されるところです。

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