AGS・JH22

AGS・JH22: 設計と開発

AGS・JH22は、1987年のF1シーズンに向けて開発されたフォーミュラ1カーで、ファブリック・デザイナーのクリスチャン・バンダープレインが手がけた。このマシンは前年のJH21Cを改良したものであり、自然吸気のフォード・DFZエンジンに変更された。AGSはこのマシンで初めて選手権ポイントを獲得するという歴史的な成果を収めた。

開発背景

AGSはもともとF2での活躍を背景に、1986年にF1へのスポット参戦を果たし、1987年からフルシーズンでの参戦を決定。JH22はその第一歩となり、実質的にはJH21Cと同様の設計が施されている。エンジンを除けば、ほとんどの部品はJH21Cと共通であり、モノコックやサスペンション、ブレーキなどは、4年前のルノー技術を基にしたものであったため、当時のレースにおいてはやや遅れをとっている側面もあった。

外観は一部変更され、サイドポッドは低型のものとなり、エンジンカバーの形状もシーズン中に数回変更された。特に、エアボックスのデザインは当初の長方形から、全幅に及ぶ低型の箱状に改良されていった。

エンジンとタイヤの違い

JH21Cではモトーリ・モデルニ製のターボエンジンを搭載していたが、JH22では自然吸気のコスワース DFZが搭載され、タイヤもグッドイヤーに変更された。このエンジンはスイスのハイニー・マーダー・レーシング・コンポーネンツによってチューンされており、性能面ではシーズンの中で最も遅いマシンと評されたが、完走率は高いことが評価された。

1987年シーズンの戦績

1987年、AGSは1台体制での参戦を続け、有望なドライバーとしてパスカル・ファブルを起用。 しかし、彼は「走るシケイン」という評価を受けることもあり、予選ではしばしば最後尾に位置した。それにも関わらず、ファブルは前半の9戦中8戦に完走し、十分な信頼性を示した。特に第7戦フランスGPでは、自然吸気車中最速のタイムを記録するシーンもあった。

最高順位はフランスGPとイギリスGPでの9位であり、オーストリアGPでは完走扱いにはならなかったものの、レースを完了させた。シーズン後半には競合他チームがセカンドカーを出走させる中、JH22での予選通過が難しくなり、ファブルは数回予選落ちを経験した。

シーズン終盤には、ロベルト・モレノがファブルに代わって出走し、最終戦オーストラリアGPでは、結果的に6位入賞を果たし、AGSにとって初の選手権ポイントを獲得することとなった。

MGNエンジンとの関わり

1989年初めには、シャシーナンバー033のJH22がモトール・ギ・ネグレ（MGN）製のW12エンジンを搭載してテストを行った。テストはフランスのサーキットで行われたが、その結果はチームに広く評価されることはなかった。MGNはその後、他のレースにも参戦したが、JH22のF1デビューには至らなかった。

結論

その後、1988年のシーズンには新型のJH23が投入され、JH22はAGSのコレクションの一部として保存されることになった。JH22はF1における重要なマシンであり、初のポイント獲得の舞台となった。

今後もこのマシンは、フォーミュラ1の歴史の中でユニークな存在として記憶され続けるだろう。

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