AIJ投資顧問

AIJ投資顧問株式会社の歴史と事件

概要

AIJ投資顧問株式会社は、かつて存在していた日本の投資顧問会社で、主に企業年金の運用を手がけていました。この会社は、1990年代後半から2000年代初頭にかけて急成長を遂げましたが、2012年に年金資産消失事件が発覚し、その後の2013年に社名を株式会社MARUへ変更し、最終的に2015年に破産しました。

この会社の成り立ちは、野村証券やペイン・ウェバー証券での長いキャリアを持つ浅川和彦が1989年に前身の資産運用企業を買収し、2004年に社長に就任したことに始まります。AIJは、ケイマンに本社を置く子会社を通じて日経225オプションの売りを主な運用戦略としていました。この戦略は、株価が急落した際には大きな損失を被るリスクがあったものの、平時には安定した収益を見込むことができるものでした。

AIJ投資顧問は、中小[[企業]]の厚生年金基金を中心に、124の企業から受託していた資産の運用額は1984億円にも達していました。また、アドバンテストや安川電機といった大手企業の年金基金も顧客に含まれていました。

年金資産消失事件

この会社の運用が問題視されるきっかけとなったのが、2012年に発覚した年金資産消失事件です。金融庁からの業務停止命令を受けた後、2020年2月に行われた証券取引等監視委員会の調査では、実際に運用されていた資産の大部分が消失していることが発覚しました。この問題は、同社がケイマンにある子会社を介して不自然なリターンを提示していたことに起因していました。

運用成績を良好に見せるために、月次リターンは小数点以下が0または5になるように設定されるといった不正が行われていました。しかし、顧客に対して適切な説明を行わず、業界誌の取材を拒むなどの行動があったため、一部の機関投資家が解約に動くこともありました。こうした不正行為があったものの、企業としては新たな契約を結ぶことに成功し続けていました。

行政処分と捜査

2012年2月には、金融庁が1か月の業務停止命令を下し、その後、同年3月には証券取引等監視委員会による強制捜査が実施されました。国会での証人喚問では、社長の浅川和彦が取引先に対して接待を行っていたことや、彼自身が損失を隠ぺいしていた事実が明らかになりました。

仮に、当該の年金基金に対して不正な利益を誘導した場合には、法律に基づく重い処罰が科される可能性がありました。

刑事立件

最終的に、2012年6月には浅川ら4人が虚偽の運用実績を示したとして逮捕されました。浅川は、証人喚問での主張を翻し、自らの行為が詐欺に該当することを認めました。これにより、AIJ投資顧問は実質的に活動停止状態となり、法人としては破産に向かうことが決定づけられました。
さらに、2016年に確定した判決では、浅川に対して懲役15年が言い渡されるとともに、大規模な追徴金も課されることとなりました。

結論

AIJ投資顧問の歴史は、企業年金の運用における信頼性と透明性がいかに重要であるかを浮き彫りにする事例となりました。金融業界のルールを遵守しないことでどのようなリスクが生じるのか、また、顧客に対する誠実な運用がいかに求められるかを再認識させる機会となったのです。

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