AIM-152 AAAM

AIM-152 AAAMについて

AIM-152 AAAM（Advanced Air-to-Air Missile）は、アメリカ合衆国により開発された長距離空対空ミサイルです。このミサイルは、冷戦時代における軍事技術の進化を背景に誕生しましたが、冷戦の終結とソビエト連邦の解体に伴う戦略的変化により、兵器としての運用はされませんでした。

開発の経緯

AIM-152は、主にAIM-54 フェニックスミサイルの代替品として開発されました。1980年代の半ばになると、AIM-54はその技術が陳腐化し、アメリカ海軍は新たな長距離ミサイルの必要性を痛感していました。そのターゲットは、ソビエト連邦の超音速爆撃機Tu-22M バックファイヤおよびTu-160 ブラックジャックでした。海軍は、フェニックスよりも小型で軽量、そしてより高い射程と速度を目指しました。

当初、複数のミサイルシステムが候補として検討され、都合早くも1980年代初頭にはチャイナレイク海軍兵器センターによって先進汎用迎撃ミサイル実証計画（ACIMD）として既に評価が進められていました。このACIMDミサイルは開発されたものの、計画中止により試作機は飛行しませんでした。

1987年、ヒューズ/レイセオンとジェネラル・ダイナミクス/ウェスティングハウスの2つがAIM-152の設計競争に選ばれました。ヒューズ/レイセオンの設計は、高速用のハイブリッドラムジェットと固体ロケットエンジンを基にしており、最終的な誘導方式にはアクティブレーダーホーミングを使用する計画でした。また、赤外線を用いた最終誘導も考慮されていました。

一方、GD/ウェスティングハウスの設計は、より小型の純粋な固体燃料ロケットエンジンを備え、慣性誘導とデュアルバンドのセミアクティブレーダーを搭載。さらに、予備の赤外線追尾装置を追加することによって、ミサイルが照射中に敵に発見されるリスクを軽減する工夫が施されていました。

しかし、1990年代初頭にソビエト連邦が崩壊し、ロシアの爆撃機がもはや現実的な脅威ではなくなると、AIM-152の必要性は急速に薄れていきました。結果として、試作機YAIM-152Aが完成する前に1992年に計画は中止されたのです。

結果とその影響

AIM-152が正式に採用されることはありませんでしたが、これによりアメリカ海軍の長距離空対空能力は失われることとなりました。代替として、短射程向けのAIM-120 AMRAAMがその役割を引き継ぐことになります。また、AIM-120の長射程バージョンも開発が進められ、失われた能力を再構築する取り組みが始まりました。

仕様

ヒューズ/レイセオン

• - 全長: 3.66 m (12 ft)
• - 直径: 231 mm (9 in)
• - 重量: 300 kg未満 (660 lb)
• - 速度: マッハ3以上
• - 射程: 185 km以上 (115 miles; 100 nm)
• - 推進: ロケット/ラムジェットエンジン
• - 弾頭: 14〜23 kg (30〜50 lb) 破片炸裂

GD/ウェスティングハウス

• - 全長: 3.66 m (12 ft)
• - 直径: 140 mm (5.5 in)
• - 重量: 172 kg (380 lb)
• - 速度: マッハ3以上
• - 射程: 185 km以上 (100 nm; 115 miles)
• - 推進: 複数パルス固体燃料ロケット
• - 弾頭: 14〜23 kg (30〜50 lb) 破片炸裂

関連項目

• - FMRAAM、ミーティア、R-37、K-100、PL-21など、他の空対空ミサイルとともに、AIM-152 AAAMもその後の技術発展に影響を与えました。

出典

外部リンクや参考文献を参照することで、より深くAIM-152 AAAMの背景を知ることができます。

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