イワン・ロゴフ級揚陸艦

イワン・ロゴフ級大型揚陸艦

イワン・ロゴフ級大型揚陸艦は、ソビエト連邦で建造された主要な揚陸艦シリーズであり、その計画名は1174号計画「ノソローク」です。ノソロークはロシア語で「犀」を意味し、この艦級の特異性を示しています。1970年代、ソビエト海軍は海洋戦力の強化を目指し、セルゲイ・ゴルシコフ提督の指導のもとで両用戦能力の向上を企図しました。この背景から、より大型の揚陸艦が建造されることが決定され、初めての艦であるイワン・ロゴフの建造が1976年に始まりました。

艦体の設計

イワン・ロゴフ級は、ドック型揚陸艦と通常の揚陸艦の機能を併せ持つ点が大きな特徴です。その船体の設計には、ビーチングに適合するためのランプドアが備えられており、これにより岸岸への直接上陸が可能です。また、艦の後部にはウェルドックがあり、2隻のレベッド型エアクッション揚陸艇を運用することができます。これにより、迅速な部隊展開や物資補給が容易になります。さらに、艦橋後方及びクレーン前方にはヘリコプター用のランディングスポットが2箇所設置されており、格納庫には最大4機のKa-29ヘリコプターを搭載できます。

武装システム

武装面では、イワン・ロゴフ級はソ連海軍の防空を担う装備として、オサーM艦対空ミサイル連装発射機を1基、AK-630 CIWSを4門搭載しています。これにより、限定的ながらも揚陸時における火力支援が可能です。また、上陸支援用にBM-21を基にした122mmロケットランチャーが艦橋右前方に装備されており、艦首にはAK-726 76.2mm連装砲が設置されています。これらの武装によって、艦は様々な戦闘状況に対応できる能力を有しています。

運用と配備

最初の2隻のイワン・ロゴフ級は太平洋艦隊に配備され、残りの1隻は北方艦隊に配備されました。しかし、ソビエト連邦の崩壊以降、予算の制約により太平洋艦隊のしたがって2隻が予備役に編入され、2007年時点では北方艦隊のミトロファン・モスカレンコのみが実戦に投入可能な状態でした。ミトロファン・モスカレンコも2002年からは予備役として扱われたという情報が存在します。

2012年、ミトロファン・モスカレンコの退役とスクラップとしての売却が決定され、2019年5月にはその処分が報告されました。過去には、フランスからのミストラル級強襲揚陸艦の購入が挫折した場合、退役したイワン・ロゴフ級艦の復活が検討されましたが、エンジンの交換や機器の更新を伴う大規模な修理には多くのコストと時間がかかることがわかりました。これにより、現実的な運用に向けた道のりは非常に困難であることが明らかになりました。

同型艦と関連情報

イワン・ロゴフ級には、同型艦がいくつか存在し、それぞれが役割を果たしながら運用されていました。各艦ごとの詳細が記録として残されており、さらに、護衛艦や他の艦艇との連携による戦術的な運用も研究されてきました。これらの艦艇は、特に海陸両方のオペレーションでの効果を発揮し、冷戦時代において重要な役割を担いました。

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