AL作戦

AL作戦（ALさくせん）

AL作戦は、1942年6月に日本軍がアメリカ合衆国アラスカ準州のアリューシャン列島を対象に展開した軍事作戦です。この作戦の主な目的は、アリューシャン列島西部要地の攻略および占領、さらに米軍の進軍を阻むことにありました。日本軍は、アメリカのダッチハーバー基地に対して空襲を実施し、アリューシャン群島で初めてアメリカの領土を占領しました。

背景と計画

太平洋戦争開戦当初、アリューシャン列島は連合艦隊作戦計画の中で重要な外郭要地とされていましたが、実際には十分な検討を経た計画ではありませんでした。アメリカの北への進行を阻むために、連合軍同士の連絡や米航空部隊がシベリアに展開することを妨げる目的がありました。しかし、日本本土の西方海面は広大であり、米空母の奇襲から守るために必要な兵力を確保する余裕はなかったのです。

1942年の初頭、米空母の活動が活発化する中、日本はアリューシャン列島への関心を強めました。北方部隊は、アメリカの航空機が本土に攻撃を加える懸念から、キスカ島を抑える提案を上申しましたが、この意見は当初は見送られていました。しかし、状況が厳しくなるにつれて、その必要性が認識されるようになり、最終的にはアリューシャン列島の攻略が決定されました。

作戦の実行

1942年5月、連合艦隊は作戦を開始するための指示を受けました。作戦の目的は、アリューシャン群島の西部を攻略し、そこからアメリカ軍の機動や航空戦力の進行を困難にすることです。作戦名は「AL作戦」と命名され、空軍と海軍の協力が求められました。

5月25日にはダッチハーバーへの空襲が決行され、未確認の敵航空力を攻撃する艦隊が出航しました。そして、続いてアッツ島とキスカ島への攻略部隊が派遣されました。特に、アッツ島には6月6日に日本兵1,150名が上陸し、無抵抗で占領に成功しました。

キスカ島も同様に占領されましたが、AL作戦の実施中、日本軍は同時に展開されたMI作戦での損失もあり、アダック島への攻撃はその後中断しました。アッツ島、キスカ島の占領により、ダッチハーバーに対する日本の航空戦力が増強され、アメリカの北太平洋における活動に対して影響を与える結果となりました。

参加兵力

日本軍

• - 北方部隊：指揮官：細萱戊子郎中将

- 重巡洋艦「那智」
- 駆逐艦「雷」「電」

• - 第二機動部隊：角田覚治少将指揮

- 空母「龍驤」「隼鷹」
- 重巡洋艦「高雄」「摩耶」

• - 陸軍北海支隊：穂積松年少佐指揮

アメリカ軍

• - 第八任務部隊：司令官：ロバート・シオボルド少将

- 重巡洋艦「インディアナポリス」「ルイスビル」
- 駆逐艦各種
- 陸軍航空部隊

結果

AL作戦の結果、日本はダッチハーバーを空襲し、アッツ島とキスカ島の占領に成功しました。しかし、この作戦は戦略的にはそれほど大きな影響を与えなかったものの、アメリカ側に大きな心理的影響を及ぼしました。ジョージ・マーシャル陸軍参謀総長は、この占領が心理的な不安を引き起こすも、当時の資源欠乏のために迅速な奪回作戦は実施しない決定をしました。これが日本にとって新たな拠点となるとともに、戦況に微妙な影響を与える結果となったのです。

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