AMD K6-2

AMD K6-2 マイクロプロセッサの詳細解説

AMD K6-2は、AMD社が開発したx86アーキテクチャ互換のマイクロプロセッサです。このプロセッサは、K6プロセッサを基盤とし、AMD独自のSIMD（Single Instruction, Multiple Data）拡張命令セットである3DNow!を実装した点が大きな特徴です。

主要な特徴

• - Super Socket 7: K6-2は、Super Socket 7に対応した初のプロセッサです。Super Socket 7は、従来のSocket 7のフロントサイドバス（FSB）を100MHzに強化した規格です。
• - キャッシュ: 一次キャッシュは、データ用に32KB、命令用に32KBの合計64KBを搭載しています。
• - トランジスタ数: 930万個のトランジスタで構成されています。
• - クロック周波数: 幅広い周波数で展開され、300MHzから550MHzまで複数のモデルが存在します。
• - MMX演算性能の強化: MMXユニットは、レジスターXパイプラインとレジスターYパイプラインの両方に接続され、MMX命令を同時に2つ発行できるように改良されました。また、MMX乗算とMMXシフトはXY両レジスターパイプラインで共有されます。さらに、2つのショートデコーダでMMX命令のデコードが可能になりました。

MMX演算性能の改善

K6-2では、MMX命令処理能力が大幅に向上しました。従来のK6では片方のショートデコーダのみでMMX命令を処理していたのに対し、K6-2では両方のデコーダを使用することで、より効率的な処理が可能になりました。この改善により、マルチメディアアプリケーションなどのパフォーマンスが向上しました。

Windows 95 OSR2.x 起動時の問題点

一部の350MHz以上のクロック周波数を持つK6-2プロセッサでは、Windows 95 OSR2.xの起動時に「Windows保護エラー」が発生する問題がありました。この問題に対しては、Microsoftから修正パッチが提供され、解決されました。

K6-2+について

K6-2+は、K6-IIIから派生した製品であり、名称に「K6-2」とありますが、そのアーキテクチャはK6-IIIに基づいています。K6-IIIでは2次キャッシュをダイ上に実装したことで性能が向上しましたが、ダイサイズの増大による製造歩留まりの低下が課題でした。AMDの製造能力が逼迫していたこともあり、性能と歩留まりのバランスを取るために、2次キャッシュを半減させたのがK6-2+です。

まとめ

AMD K6-2は、3DNow!命令の導入、MMX演算性能の強化、Super Socket 7への対応など、当時の最新技術を搭載した意欲的なプロセッサでした。初期にはWindows 95との互換性問題がありましたが、パッチにより解決され、幅広いユーザーに利用されました。K6-2+は、K6-IIIの派生モデルとして、よりコスト効率の高いソリューションを提供しました。

参考文献

• - AMD-K6-2プロセッサ

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