AMS Eulerフォント

AMS Euler（エイエムエス オイラー）

AMS Eulerは、アメリカ数学会（AMS）の依頼により、ヘルマン・ツァップがデザイン・製作した立体筆記体の書体です。アメリカ数学会が版権を所有しており、書体の名前は、数学者レオンハルト・オイラーにちなんで名付けられました。デザインには、ドナルド・クヌースとその大学院生が協力しています。

この書体は、数学者が黒板に手書きした数学的記号を模倣したもので、イタリック体というよりも立体的な表現が特徴です。

開発の経緯

AMS Eulerの全てのアルファベットは、ドナルド・クヌースが開発したコンピュータ支援デザインシステムであるMETAFONTを使って実装されました。ツァップは1980年から1981年にかけてEulerアルファベットをデザインし、1983年以降にはデジタル校正刷への批評・助言を行っています。

AMS EulerのMETAFONTを使った開発は、スタンフォード大学のコンピュータ科学およびデジタルタイポグラフィの学生であったスコット・キム、Carol Twombly、David Siegel、そしてJohn Hobbyによって行われました。中でもSiegelは、1985年の修士論文としてMetafont Eulerデジタル化プロジェクトを完成させています。

初めての利用

AMS Eulerは、METAFONTで初めて実装された後、クヌースが共著者の一人である書籍『Concrete Mathematics』で初めて使用されました。この書籍では、AMS Eulerを補完するためにクヌースがデザインしたConcrete Romanフォントも初めて使用されています。

Euler Metafontフォーマットは、その後PostScript Type 1フォントフォーマットに変換され、現在ではTrueTypeフォーマットでも入手可能です。

Eulerの再製作

アメリカ数学会は2009年、AMSフォントのバージョン3.0をOFL（Open Font License）のもとでリリースしました。このバージョンでは、ツァップ自身がAMS Eulerの多くのグリフ（字体）を再製作しています。再製作の実装には、Hans Hagen、Taco Hoekwater、Volker RW Schaaの助力を得ています。

特筆すべきは、AMS Eulerバージョン3.0がクヌースの誕生日である2008年1月10日にクヌース本人にプレゼントされたというエピソードです。

参考文献

• - Concrete Mathematics
• - Metafont Eulerデジタル化プロジェクト

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