TrueType

TrueTypeは、Apple Computerが1990年に発表したスケーラブルフォントの規格です。Windows、macOS、Linuxといった主要なオペレーティングシステムで標準的に利用されており、デジタルフォントの世界において重要な役割を果たしています。

規格

TrueTypeは、曲線の表現に2次ベジェ曲線を使用しています。これは、PostScriptフォントが3次ベジェ曲線を使用するのとは対照的です。また、補助的な目的でビットマップフォントを埋め込むことも可能です。

TrueTypeの大きな特徴の一つに、高度なヒンティング言語の実装があります。これにより、様々なフォントサイズにおいて、ピクセル単位での表示制御が可能となり、低解像度のディスプレイでも文字が適切に表示されるように調整できます。

TrueTypeのファイル拡張子には、「.TTF」と「.TTC」の2種類があります。「.TTF」は単体のフォントファイルを指し、「.TTC」は複数の類似するフォントファイル（プロポーショナルフォントや等幅フォントなど）を1つのファイルにまとめたものです。

後継規格であるOpenTypeでは、PostScript (CFF) ベースとTrueTypeベースのどちらのアウトライン記述方式も選択できますが、TrueTypeをベースとした場合、拡張子は「.TTF」または「.TTC」のままとなります。

macOSでは、拡張子「.DFONT」も使用されます。これは、Mac OS 9までのTrueTypeにおけるデータの扱い方を変更したもので、それまでリソースフォークに格納されていたフォントデータをデータフォーク側に移したものです。フォントスーツケースで取り扱われていたTrueType（およびその他の形式）は、macOSではFFIL形式となります。これらの形式では、1つのファイルに複数のフォントを収録できますが、他のOSでは対応していません。

経緯

TrueTypeは、もともとAppleがAdobeのPostScriptフォントに対抗するために開発したものでした。その後、AppleはMicrosoftにこの技術を無償で提供し、MicrosoftはWindows 3.1でTrueTypeのラスタライズエンジンを実装しました。これにより、WindowsではTrueTypeが標準的なフォント形式として普及しましたが、AppleはPostScriptとTrueTypeを両立させる道を選びました。

1995年には、OpenTypeの前身となるTrueType OpenがMicrosoftによって発表され、1996年にはTrueTypeに加えPostScriptフォントのアウトライン形式もサポートしたOpenTypeが発表されました。現在、Windowsにバンドルされているフォントの多くは、TrueTypeアウトラインのOpenTypeフォントとなっています。

現在ではLinuxでもTrueTypeが利用されており、多くのLinuxディストリビューションで標準的に採用されています。

関連情報

OpenType: TrueTypeの後継規格であり、より高度な機能を提供します。
FreeType: フリーのフォントラスタライザであり、TrueTypeにも対応しています。
* TrueType™ Reference Manual: AppleによるTrueTypeの規格書です。

TrueTypeは、その登場以来、デジタルフォントの分野に大きな影響を与え、現在でも広く利用されています。

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