AMS Neve

概要

AMS Neveは、1992年にイギリスのAdvanced Music Systems (AMS) 社とNeve Electronics社が統合して誕生した、音響システムの設計および製造を手掛ける企業です。デジタル信号処理技術に強みを持つAMSと、高品質なアナログ回路設計で知られるNeveという、異なる技術分野で高い評価を得ていた両社の統合は、特にデジタルコンソールの開発において大きな推進力となりました。

歴史

合併に至るまで、AMS社とNeve社はそれぞれ独自の道を歩んでいました。

AMS社

AMS社は1970年代後半に活動を開始し、主にデジタル音響機器の開発に特化したメーカーでした。同社の代表的な製品としては、世界中のレコーディングスタジオで広く導入されたデジタルリバーブレーター「rmx-16」や、オーディオサンプリング機能とピッチシフトディレイ機能を組み合わせた「dmx-15 '80s」が挙げられます。これらの製品を通じて、AMSはデジタル信号処理技術において高い技術力を持つ企業として評価を確立しました。

Neve Electronics社

一方のNeve Electronics社は、1960年にルパート・ニーヴ氏の工房からスタートしました。創業以来、ミキシングコンソールとそのモジュールの設計・製造を専門としてきました。1970年代に入ると、その高品質なサウンドと柔軟なモジュール構成が評価され、レコーディングスタジオや放送局など、様々な音響現場で採用されるようになります。顧客の要望に応じた多様なシステム構成が可能であったことが、Neve製品の大きな特徴でした。

合併と発展

1992年、デジタル技術のAMSとアナログ技術のNeve Electronicsは統合し、AMS Neveとして新たなスタートを切りました。この統合により、両社の技術ノウハウが結びつき、デジタルコンソールをはじめとする先進的な製品開発が進められました。また、Neve Electronics時代に誕生した「#1073」や「#1081」といった伝説的なマイクプリアンプ/イコライザーは、現在も当時の回路設計を踏襲しながら再生産されており、さらにデジタル技術を取り入れたD/Aコンバーター内蔵モデルなども加わるなど、従来の製品ラインナップも拡充されています。

製品群

AMS Neveは、長年にわたって培われた両社の技術を融合させ、幅広い音響機器を製造しています。

コンソール

Neve Electronics時代から受け継がれるコンソール設計の経験と、AMSのデジタル技術が融合した、AMS Neve独自のコンソール製品が展開されています。

アウトボード

Neve Electronics時代の名機を現代に蘇らせた製品に加え、デジタル・オーディオ・ワークステーション (DAW) を中心とした現代の制作環境との連携を考慮した新しいカテゴリーの製品も開発されています。

ポストプロダクション用機器

映像や放送分野におけるポストプロダクション作業に特化したデジタルコンソールやオーディオ編集システムを提供しています。主な製品には、「DFC Gemini Digital Film Console」や「DFC PS-1 Digital Film/TV Console」、「DMC Digital Multimedia Console」、「MMC Multimedia Console」、「CineFile HD Recorder/Playback System」、「Audio File SC/X Audio Editing System」、「StarNet」などがあります。

放送用機器

放送局向けのデジタルコンソールも手掛けており、「Libra Live」などが代表的な製品として知られています。

AMS Neveは、アナログとデジタルの両面において音響技術の発展に貢献し続けており、プロフェッショナルな音響制作現場で欠かせない存在となっています。

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