AN/APG-65

AN/APG-65 レーダーシステム

AN/APG-65は、アメリカ合衆国のレイセオン（かつてのヒューズ社）が開発した高精度の火器管制レーダーです。このレーダーは、ノースロップ社とマクドネル・ダグラス社によって設計されたF/A-18 ホーネット戦闘爆撃機に搭載されることを目的に開発されました。F/A-18の原型機であるノースロップ YF-17は、軽量な昼間用戦闘機として設計されましたが、アメリカ海軍から求められた戦闘及び爆撃能力を満たすためには、高性能な火器管制レーダーが欠かせませんでした。AN/APG-65の開発は1970年代後半に始まり、1983年から運用が開始されました。

F/A-18のレーダーシステムは、アメリカ空軍で運用されていたF-16のAN/APG-66|AN_APG-66レーダーと同様に、小型化されているものの、空対空戦闘能力の強化に重きを置かれています。特に、海軍はAIM-7 スパロー空対空ミサイルの運用が可能であることを要求し、開発においてこれが優先事項とされました。また、AN/APG-65は、最大8つの目標を同時に追尾する能力を備え、これは当時のF-15に搭載された初期のAN/APG-63|AN_APG-63にはなかった特徴です。

特徴

AN/APG-65はパルス・ドップラー方式のレーダーであり、その信頼性は非常に高く、平均故障間隔（MTBF）は100時間以上とされています。メンテナンスの容易さを考慮し、整備性の向上のために列線交換ユニットが採用され、これにより5つのユニットで構成されています。これらの特徴から、AN/APG-65は海軍の戦術において重要な役割を果たしました。

派生型

AN/APG-65には、いくつかの派生型があります。代表的なものは以下の通りです。

• - APG-65 RUG I: ECCM機能の強化や全天候攻撃能力の改善、探知距離の延長が施された改良型。
• - APG-65 RUG II: 合成開口レーダー技術の導入による偵察能力の付与。
• - APG-65(V)2: 海兵隊のAV-8B+ ハリアーIIプラス攻撃機に特化したモデル。
• - APG-65(GY): ドイツ空軍のF-4F ICE改修機に搭載されたモデル。

続いてAN/APG-73やAN/APG-79|AN_APG-79といった後続のレーダーシステムは、AN/APG-65を基にした大幅な改良でした。AN/APG-73は、レーダーデータプロセッサや電源など重要な部分が新しいものに変更され、より優れた解像度を実現しました。

搭載機

AN/APG-65の搭載機には、F/A-18A-D及びその派生型のF/A-18E/F、EA-18G、さらにAV-8B+ハリアーIIプラスなどがあります。これらの飛行機は、各々の任務に応じて高性能なレーダーを活用し、空中での戦闘能力を高めています。

AN/APG-65は、その高性能と信頼性から、海軍の戦闘機にとって欠かせないレーダーシステムとして、今なお多くの現役機で利用されています。

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