AN/APG-81

AN/APG-81 火器管制レーダー

AN/APG-81は、ノースロップ・グラマン社がF-35戦闘機のために設計した、先端の火器管制レーダーです。通称「多機能統合型RFシステム/多機能機首アレイ（MIRFS/MFA）」とも呼ばれ、その特異な機能群が注目されています。

概要

このレーダーは、アクティブフェーズドアレイ（AESA）を採用しており、F-22に搭載されているAN/APG-77|AN_APG-77を基に、F-16E/F用のAN/APG-80|AN_APG-80の対地攻撃能力と、電子戦機能を組み合わせたものです。マルチモードレーダーとしての特性を持ち、電子戦（ECM）や電子支援（ESM）、通信機能が統合されています。これは、従来機では機体の各部分に分散していたアンテナを統一し、必要なアンテナ数を大幅に削減することに成功した結果です。

APG-81のアンテナ直径は約70cmで、1,000以上の送受信モジュールを備えています。APG-77の空対空モードに加え、地上移動目標に対する捜索機能も持ち、探知範囲は最大約90海里（約166km）です。気象条件や対象のレーダー反射断面積（RCS）によって異なりますが、RCSが約1㎡の戦闘機であれば、約150kmの距離で探知可能です。テスト結果によると、APG-81は前方120°の範囲内で、2.5秒間で19の空対空目標を探知し、9秒で全目標を把握し、同時に追尾する能力を示しました。

開発経緯

APG-81の開発は、1996年に始まりました。当初はウェスティングハウス・エレクトロニック・システムズとヒューズ・エアクラフトが、統合打撃戦闘機（JSF）のX-35計画におけるMIRFS/MFAの部分を担当していました。2001年にロッキード・マーティンとノースロップ・グラマンの提案が競争試作に勝利し、同年の10月21日にAPG-81が正式に採用されることとなります。

その後、F-35のために3,000機以上のAPG-81 AESAレーダーが発注され、2035年までの生産が見込まれています。2007年からは生産も開始されており、将来的にはF-35の武装能力を飛躍的に向上させる役割を担うことが期待されています。

参考文献

• - 航空ファン, 2011年5月号
• - JWings, 2005年1月号
• - 軍事研究, 2007年6月号、2008年9月号、2011年4月号1、2011年5月号、2014年5月号

出典

• - Northrop Grumman: APG-81

AN/APG-81は、その先進的なレーダー技術とマルチタスク能力によって、航空機の戦闘能力を一層高める重要な要素となっています。

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