AN/APG-83

AN/APG-83 (SABR) - F-16シリーズ用レーダー

AN/APG-83は、ノースロップ・グラマンが開発したF-16シリーズのアクティブフェーズドアレイレーダーであり、通称SABR（Scalable Agile Beam Radar）と呼ばれています。このレーダーは、F-35に装備されているAN/APG-81|AN_APG-81のアンテナ部分と、最新のバックエンド部門を組み合わせて設計されました。これにより、95％以上のソフトウェアの互換性と70％以上のハードウェアの互換性を実現し、効率的かつ低コストでF-16の性能を向上させることができます。

技術的特徴

AN/APG-83は、AN/APG-81|AN_APG-81のアンテナ部分を流用することで、開発における手続きの簡略化とコスト削減を図っています。具体的には、AN/APG-81|AN_APG-81の部品がすでに輸出許可を受けているため、これを用いることで新たな手続きが省略でき、開発プロセスを迅速化しました。その結果、AN/APG-83は、ノースロップ・グラマンがF-16E/F向けに開発したAN/APG-80|AN_APG-80よりも低価格で提供されています。

また、このレーダーは前モデルの[AN/APG-66|AN_APG-66]3と比較し、捜索、追尾、ロックオンの機能を同時に実行できる能力を持ちます。複数の目標を同時に検出することが可能であり、探知範囲も30％以上拡大されています。戦場全体における探知能力は220％向上し、自己防御能力も180％の向上が見込まれています。これにより、AN/APG-83は多様な戦術的状況に対応する力を持っているとされています。

ノースロップ・グラマンは、このレーダーの導入により、既存のF-16機への改修が容易で、さらに新造機への搭載も考慮した場合、その市場規模は約1,500基に達するとも予測しています。

開発年表

AN/APG-83の開発は2012年に始まり、重要なマイルストーンが設定されています。2012年5月9日には、BAC 1-11を使用して空中試験が実施され、2013年8月1日にはアメリカ空軍のF-16と台湾空軍のF-16A/B向けのアップグレードレーダーとして選定されました。2014年には全ての設計審査を完了し、試作機が初めて納品されました。

2015年からは本格的な生産が始まり、同年5月には、B-1B向けにさらに強化されたバージョンであるSABR-GSが発表されています。また、2015年10月には、AN/APG-83を装備した台湾向けF-16Vが初飛行しました。2018年には、F/A-18Cへの搭載可能性も実証されています。

搭載機

AN/APG-83は、主に以下の航空機に搭載されます：

• - F-16: 特にBlock 20、Block 70、F-21が対象です。
• - F/A-18C/D: 米海兵隊の要求に応じた実証試験が行われています。
• - B-1B: レーダー近代改良プログラムの一環として、既存のレーダーからの換装が計画されています。
• - B-52: 近代化のために案出されています。

結論

AN/APG-83は、現代の複雑な航空戦場において重要な役割を果たす能力を持ち、既存機の性能向上や新型機への搭載が期待されています。その技術力と生産の効率性により、F-16シリーズにおける戦闘能力の向上に寄与することでしょう。

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