AN/AYK-14

AN/AYK-14について

AN/AYK-14は、コントロール・データ・コーポレーション（CDC）によって開発されたアメリカ海軍向けの高度なデジタルコンピュータです。このコンピュータは、艦載機のアビオニクスやMk.50短魚雷などの組み込みシステムに広く利用されています。1971年にアメリカ海軍作戦部長（CNO）の指導のもと、海軍のコンピュータの標準化が進められ、多目的デジタルコンピュータ（AADC）の開発が承認されました。当初は艦上用から機上用への派生が期待されていました。

しかし、1974年にはUNIVAC社のAN/UYK-20が艦載コンピュータとして採用されたため、優先度が変わり、AADC計画は機上コンピュータに特化したISADC（Interim Standard Airborne Digital Computer）に転換されました。この新たな開発計画の結果、1976年にAN/AYK-14が誕生し、正式な納入が開始されました。

技術的概要

AN/AYK-14は、CDC 480シリーズを基に発展を遂げた機種であり、16ビットアーキテクチャを採用しています。命令セットはUYK-20のものを拡張した形で、従来の283命令から307命令に増えました。メモリには、磁気コアメモリを使う場合は64キロワード、半導体メモリを用いる場合は最大4メガワードが使用可能です。命令の処理速度は、300 kIPSから2.3 MIPSに及びます。

AYK-14は、モジュール化されており、性能向上のために1987年からの生産分でP3I（Preplanned product-improved）版が導入されました。このバージョンは、プロセッサの高速化とメモリの拡張により、従来3つのモジュールを1つで代替することが可能となりました。さらに、超高速集積回路（VHSIC）プロセッサを搭載し、演算能力を著しく向上させました。実際、VPM（VHSICプロセッサ・モジュール）は1989年に試験を行い、1991年から正式に納入が始まりました。

また、従来のAYK-14から全面的な改良を加えたAAYK-14（Advanced AYK-14）も開発され、こちらにはRISCプロセッサ（MIPS R4000SC）が導入され、動作周波数は100 MHzに達しました。これにより、スループットは45 MIPSに向上し、メモリはDRAM 32メガバイト、EEPROM 4メガバイトまで拡張されています。プログラミング言語の選択肢も増え、旧ソフトウェアのCMS-2に加え、Adaを用いた新しいソフトウェアも実行可能となっています。AAYK-14は1996年からの試験を経て、最終的に量産体制に移行しました。

利用目的

AN/AYK-14はその高性能なデジタル処理能力により、アメリカ海軍のさまざまな戦闘システムや航空機のアビオニクスに不可欠な役割を果たしています。その柔軟性と性能向上の可能性から、長年にわたって海軍のニーズに応える存在であり続けています。

このコンピュータは、艦載機や軍用機の高度な制御や情報処理に寄与し、より効率的な運用を支える重要な技術基盤の一部となっています。

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