AN/SPS-10

AN/SPS-10とその発展

AN/SPS-10は、アメリカ合衆国のシルバニア社が設計した2次元レーダーで、主に水上捜索用に用いられました。このレーダーは、第二次世界大戦中に使用されたSO-6/10の後継機として1950年代初頭に開発され、アメリカ海軍の艦艇に広く採用されました。

設計と性能

開発当初、AN/SPS-10は250キロワットの出力を持つ送信機を使用していましたが、後のSPS-10Bモデルからは出力が500キロワットに強化されました。このレーダーは、ビーム幅1.9×16度、走査速度17回転/分に設定された新しいアンテナを持つようになり、1956年の試験では、波高がシーステート2の条件下で平均9,630ヤード（約8,810メートル）で目標を探知できました。シーステート1では、追尾距離が16,000ヤード（約15,000メートル）に達することが確認されています。

AN/SPS-10は1953年10月に最初の艦艇へ引き渡しが行われ、1956年末までにはアメリカ海軍の対潜戦艦艇の25%がこのレーダーを搭載していました。1976年には、故障間隔が約150時間、修復時間が5-6時間という高い信頼性を誇り、他の対水上捜索用レーダーと比較しても評価が高いものでした。

後継機と技術進化

1980年代に入ると、AN/SPS-10の後継機としてノルデン社が開発したAN/SPS-6|AN_SPS-67が登場しました。この新モデルはソリッドステート技術を応用したものであり、一部の艦艇ではAN/SPS-6|AN_SPS-67への換装が進められました。さらに、レーダーが一部の艦対空ミサイルの射撃指揮装置と周波数干渉の恐れについても考慮され、XバンドのAN/SPS-55|AN_SPS-55も後継機として採用されるようになりました。

日本への導入

海上自衛隊では、旧米フレッチャー級駆逐艦用にAN/SPS-10Bを導入し、そこから国産版のOPS-16を開発しました。OPS-16は敵味方識別装置（IFF）のアンテナを組み込んだもので、68式OPS-16レーダーとして昭和33年度計画艦から実際に装備されました。さらに、駆潜艇用に設計されたOPS-36も開発されました。

OPS-16はその後、マイナーバージョンアップを経てOPS-16Cとして改良され、真方位・相対方位の切り替えが可能になり、ビデオおよびトリガー出力端子も追加されました。OPS-16Dでは、半導体素子化が進み、パルス幅やパルス繰り返し周波数の変更を経て性能の向上が図られました。さらに、OPS-17では2系統の中間周波数帯域幅とビデオ帯域幅が追加され、より高い性能を実現しています。

結論

AN/SPS-10は、その信頼性と性能の向上を経て、長い間艦艇の水上捜索用レーダーの標準としての地位を築いてきました。新モデルが登場する中でも、その技術的進歩や後継機の開発は、海軍の戦術的能力を向上させる礎となっています。

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