AN/SPY-1

AN/SPY-1レーダー

AN/SPY-1は、アメリカ合衆国のイージスシステムにおいて使用される多機能フェーズドアレイレーダーです。このレーダーは、同時に多数の目標を捜索、捕捉、追尾することができる能力を備えており、艦対空ミサイルの誘導にも重要な役割を果たします。開発はロッキード・マーティン（旧RCA）社が手掛け、特に特長的な八角形のパッシブ・フェーズドアレイアンテナを四面に配置することで、全方向からの捜索を可能にしています。

概要

SPY-1はイージス武器システムの中核部分を担い、多機能運用が可能です。探知能力が際立っており、アメリカ海軍の評価では、「画面に表示される目標が存在するならば、確実にそこには目標がある」とされています。このレーダーの初期バージョンであるA型から改良型B型、さらにはD型へと発展し、それぞれ異なる艦種に向けて設計されています。特にD型は艦橋に集約して配備され、一層の効率化が図られました。

来歴

SPY-1の開発は、時代の変化に直面する中、1957年から始まったアメリカ海軍のタイフォン・システムの一環でした。当初のSPG-59は性能面で挫折しましたが、その後、ASMS計画に基づいてこのレーダーの設計指針が定められました。これにより、動作周波数の選定や機能の整理が進み、SPY-1の形が形成されていきました。

設計と機能

動作周波数はSバンドに設定され、位相制御による指向性の制御を採用しています。このレーダーは、コンピュータ制御によって捜索、追尾、ミサイル誘導を一体化し、効果的な交戦を可能にしています。目標を捜索する際は、ペンシルビームで広範囲をカバーし、最大175海里の探知が可能です。追尾段階では200以上の目標を同時に管理し、ミサイルの誘導も行います。

採用国と搭載艦

AN/SPY-1はアメリカ海軍をはじめとする多くの国の艦艇に搭載されています。アメリカ海軍では、タイコンデロガ級巡洋艦やアーレイ・バーク級駆逐艦において、さまざまなバージョンが使用されています。スペイン、ノルウェー、韓国などの海軍も、各国の艦艇にSPY-1を採用しています。

結論

AN/SPY-1レーダーは、イージスシステムの根幹を成す重要な要素です。その高い性能と信頼性により、現代の海上戦闘において欠かせない存在となっており、今後も様々な改良が加えられながら運用されていくでしょう。

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