APX砲塔

APX砲塔の概要

APX砲塔は、1930年代にフランスのピュトー工廠で設計され、製造された戦車用の砲塔です。この砲塔は1934年から1938年にかけてさまざまなモデルが登場し、当時の戦車や装甲車両に搭載されました。これにより、フランス陸軍の戦力強化が図られました。

APXのモデル

APX 1

APX 1は、装甲厚が45mmの1人用鋳造砲塔であり、主砲として47mm SA 34、同軸機銃としてMAC M1931機関銃が装備されています。この砲塔は主にルノーB1の初期型、ルノー D2の初期型、そしてソミュア S35のプロトタイプに利用されました。

APX 1A

APX 1Aは、主砲を47mm SA 35に換装した改良版です。このモデルはルノー D2の後期型に搭載されました。より高い火力を求めた改良で、実戦での性能向上を目指しています。

APX 1 CE

APX 1 CEは、騎兵用のバージョンとして開発され、砲塔リングが拡大されています。この改良により、無線手が車長を補佐できるようになり、「1.5人用砲塔」と称されることもあります。「CE」は「通路拡大」を意味し、47mm SA 35を装備したものがソミュア S35の量産型に、一方で47mm SA 34搭載のものはルノー AMC34に使用されました。

APX 2

続いて、APX 2は装甲厚25mmの2人用砲塔で、鋳造とリベットを組み合わせた構造が特徴です。ルノー AMC34の初期型には25mm SA type RF、AMC35には47mm SA 35が搭載されています。

APX 2B

APX 2Bは、ベルギー向けのモデルで、AMC35に搭載されています。主砲がベルギー製の47mm M1931に、同軸機銃がオチキスMle1914に換装されています。

APX 3

APX 3は、防御力13mmの2人用リベット構造砲塔で、主に25mm SA 35を装備し、同軸機銃としてMAC M1931を搭載しています。パナール 178（AMD35）の砲塔に使用され、当時の機動戦において重要な役割を果たしました。

APX 4

APX 4は、装甲厚が60mmの1人用鋳造砲塔で、主砲に47mm SA 35、及び同軸機銃としてMAC M1931を搭載しています。このモデルは、改良型のルノーB1 bisに搭載され、優れた防御力が求められる場面で使用されました。

APX 5

APX 5は、1人用リベット構造の砲塔で、主砲に25mm SA 35を備え、同軸機銃としてMAC M1931が搭載されています。これはAMR35のZT2型及びパナール 178のインドシナ植民地向け車両にも装備され、特定の地域での活用が見込まれました。

APX-R

APX-Rは1人用の鋳造砲塔で、主砲はピュトーSA18 37mm砲で、同軸機銃としてMAC M1931が装備されています。オチキスH35/H38/H39及びルノー R35に搭載し、さらに後期にはSA38に換装したバージョンも存在しました。生産が進むにつれて、APX-Rの生産性や防御力には課題が浮上し、FCM36と同型の溶接砲塔に換装する計画が持ち上がりましたが、様々な問題が発生し実現しませんでした。

視察装置

APX砲塔には、初期モデルにおいて双眼鏡式の外部視察装置が装備されていました。この装置は強化ガラスで保護されており、衝撃を受けることで装甲シャッターが自動的に閉じる機構がありますが、戦闘中の視界確保が優先されるため、後に間接視式ペリスコープへと変更されることとなりました。

結論

APX砲塔は、フランスの戦車技術の発展において重要な役割を果たしました。それぞれのモデルが特定の目的やニーズに応じて設計され、多様な戦車に搭載されることで戦力を向上させました。

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