ASEAN自由貿易地域

ASEAN自由貿易地域（AFTA）とは

ASEAN自由貿易地域（ASEAN Free Trade Area、略称：AFTA）は、東南アジア諸国連合（ASEAN）が中心となって推進する地域経済協力の枠組みです。これは、東南アジア市場の統合を図り、欧州連合（EU）や北米自由貿易協定（NAFTA）といった他の地域経済圏に対抗することを目的としています。AFTAは、域内における貿易障壁の撤廃や削減を通じて、経済成長と地域統合の深化を目指しています。

AFTAの設立と拡大

AFTAは、1992年1月にシンガポールで開催された第4回ASEAN首脳会議で採択された「シンガポール宣言」に基づいて正式に創設が決定されました。当初、AFTAは1993年から2008年までの15年間で実現することを目指していました。設立当初の加盟国は、ブルネイ、インドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイの6カ国でしたが、その後、ベトナム（1995年）、ラオス、ミャンマー（1997年）、カンボジア（1999年）がASEANに加盟したことで、東南アジア10カ国による広大な地域経済協力圏が形成されることとなりました。

AFTAの目標と期待される効果

AFTAの主な目的は、域内での競争を促進し、東南アジア全体の国際競争力を高めることです。また、AFTAによって創出される広大な市場は、外国資本の参入を促し、投資と経済成長を加速させることが期待されています。当初の加盟国は2002年までに共通有効特恵関税（CEPT）の最終関税率（0～5％）をほぼ達成しましたが、後発加盟国は2015年までのゼロ関税達成を目指しました。

AFTAの最終目標は輸入関税の撤廃です。当初の加盟国は2015年から2010年に、新規加盟国は2018年から2015年に目標年を前倒ししています。AFTAに基づく物品貿易に関する協定はATIGA（ASEAN Trade In Goods Agreement）と呼ばれ、2010年8月に発効しました。この協定は、物品の自由な移動を実現するための輸入関税減免規定などを規定しており、ASEAN経済共同体の基盤となっています。

AFTAとその他の自由貿易協定

AFTAは、他の地域経済圏との連携も模索しています。特に重要なのが、中国との間で締結されたASEAN・中国自由貿易協定（AC-FTA）です。この協定は、2010年1月に発効し、ASEAN先行加盟6カ国は、中国との間で貿易される品目の9割について関税を撤廃しました。その後、新規加盟4カ国も2015年までに同様の措置を講じました。しかし、この協定に対しては、国内産業への影響を懸念する声も上がっています。インドネシアでは、安い中国製品の流入によって国内産業が打撃を受けるとの懸念から、FTA実施の延期を求める声が上がりました。

また、日本はASEANとの間で包括的経済連携協定（AJ-CEP）を締結しており、2008年12月から順次発効しています。これにより、日本とASEAN諸国との間の貿易と投資が促進されています。

まとめ

AFTAは、東南アジアの地域統合を推進する重要な取り組みです。域内における関税障壁の撤廃や削減を通じて、経済成長と国際競争力の強化を目指しています。また、中国や日本との連携を通じて、さらなる経済発展を目指しています。

関連項目

自由貿易協定（FTA）
日本・ASEAN包括的[[経済連携協定]]
北米自由貿易協定（NAFTA）
メルコスール（南米共同市場）

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