メルコスール

メルコスールについて

メルコスールは、1991年のアスンシオン条約および1994年のウロ・プレト議定書を基に設立された南アメリカの貿易圏です。英語では「Southern Common Market」と称され、日本語では「南米南部共同市場」または「南米共同市場」と訳されています。特に前者が日本の外務省やJETRO、JICAなどで頻繁に使用されています。主要な正加盟国にはアルゼンチン、ブラジル、パラグアイ、ウルグアイ、ボリビアがあり、過去に正加盟国であったベネズエラは2017年からその資格を停止されています。また、チリ、コロンビア、エクアドル、ガイアナ、ペルー、スリナムが準加盟国となっています。

起源と歴史

メルコスールの起源は、ラテンアメリカの地域経済市場の構成に関する議論にあります。この背景には、1960年のラテンアメリカ自由貿易連合条約や、その後に続く1980年代のラテンアメリカ統合連合の形成が影響を与えています。1985年には、アルゼンチンとブラジルがイグアス宣言に署名し、二国間委員会を設置。その後、一連の貿易協定が結ばれました。

1988年にはアルゼンチンとブラジルの間で、共通市場の設立を目指す統合・協力・開発条約が締結され、パラグアイとウルグアイもこのプロセスに加わりました。そして1991年、これらの国々はアスンシオン条約に署名し、メルコスールが設立されました。この条約は、地域経済の活性化と貿易の自由化を促進することを目的としています。

機能と目的

設立以来、メルコスールは自由貿易とモノ・人・資本の流動的な移動を刺激することを目的としてきました。当初は自由貿易圏が設定され、加盟国同士の輸入品に対する課税や制限がないことが定められましたが、1995年以降は関税同盟へと移行し、全加盟国が共通の対外関税を設定できるようになりました。これにより、域内の貿易は一層円滑に行われ、経済の統合が進められています。

2019年には、メルコスールの名目GDPが約4.6兆ドルに達し、これは世界で5番目の規模となっています。また、この経済圏は人間開発指数でも上位に位置しており、経済的な安定性がうかがえます。

最近の発展

メルコスールは、欧州連合（EU）などとの自由貿易協定を結ぶことで国際的な地位を強化し続けています。2023年12月の首脳会議では、ボリビアの正式加盟が決定され、メルコスールの加盟国はさらに広がりを見せています。これにより、南米全体の人口の約7割、国内総生産の75％をカバーすることになります。

南米諸国は互いに協力しながら、共通の利益を追求し、地域の安定性と成長を図っています。メルコスールの加盟国や準加盟国は、相互に貿易を促進し、経済的なつながりを深めています。今後もメルコスールは、南米の経済圏として重要な役割を果たし続けるでしょう。

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