ASNARO

ASNARO（あすなろ）について

ASNARO（Advanced Satellite with New system Architecture for Observation）は、日本が開発した先進的な小型地球観測衛星シリーズです。このプロジェクトは、経済産業省やNEDO（新エネルギー・産業技術総合開発機構）、USEF（無人宇宙システム実験開発機構）、NECなどが協力し、2014年から開始されました。

開発の背景

さまざまな国で小型衛星の需要が高まりつつある中で、日本は需要に応じた地球観測衛星を開発することを目指しました。ASNAROシリーズは、従来の地球観測衛星と比べ、寿命や観測幅をしばしば制限することで、より小型で軽量、かつ低コストな設計が施されています。この結果、開発にかかるコストは従来の1/10、製作期間も約半分に抑えつつ、同等の高分解能を確保することを目指しています。

具体的な仕様

ASNAROシリーズは、主に光学衛星とレーダー衛星の2種類に分かれています。光学衛星のASNARO-1は2014年に初めて打ち上げられ、その後、2018年にはレーダー衛星のASNARO-2が続きました。これらは、500kmから700kmの高高度を周回し、地表の観測を行います。

この衛星は、特に新興国に向けて製造から打ち上げ、人材育成までを包括的に提供することを促進しています。このような取り組みによって、国際的な競争力を強化し、同時に高性能な地球観測を実現することを目指しています。

開発プロセス

2007年の段階で、経済産業省とNEDOは、安価で短期間で開発できる人工衛星の仕様を調査しました。その結果、光学センサーの分解能は50cm未満、衛星重量は約500kg、さらには、共通化された構成要素を有する衛星の基本仕様が定められました。2008年にはこのASNARO計画が公式に始まり、NECが主要な開発と製造を行う契約者として選ばれました。

事業はその後、経済産業省を管轄するUSEFによって監視され、地上の運用系はパスコが担当しました。このように、さまざまな機関との協力により、ASNAROプロジェクトは順調に進行しました。

技術の革新

ASNAROプロジェクトにおける研究段階では、日本の宇宙開発機関とともにNECが製造した小型標準バス「NEXTAR」の採用が進められてきました。この標準バスは、ASNAROシリーズの地球観測を支える重要な要素となっています。ASNAROシリーズには、400kgクラスの光学衛星、500kgクラスのレーダー衛星、さらに100〜200kg級の超小型光学衛星があり、主に地表を高分解能で観測する目的で設計されています。

打ち上げと運用

ASNARO-1は2014年11月6日に、ロシアのヤースヌイ宇宙基地から他の衛星と共に打ち上げられました。一方、ASNARO-2は2018年にイプシロンロケットによって打ち上げられ、ASNAROシリーズの更なる活用が期待されています。これらの打ち上げを通じて、日本の宇宙産業の発展と地球観測の精度向上が図られています。

結論

ASNAROシリーズは、省資源でありながら高性能な地球観測を可能にし、特に新興国への技術支援および国際的な競争力強化に貢献しています。未来の宇宙産業の進展に寄与する存在として、今後の動向が期待されます。

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