ATCコード D09

ATCコード D09：薬用包帯

世界保健機関（WHO）が定める解剖治療化学分類（ATCコード）は、医薬品やその他の医療用品を共通の基準で分類するための体系です。英数字のコードを用いて、医薬品の解剖学的位置、治療法、化学的性質に基づいて詳細に分類が行われています。

このATCコード体系において、コード「D09」は「薬用包帯」のカテゴリーを指します。Dコードは主に「皮膚（Dermatologicals）」に関連する製品を分類しており、D09はこの皮膚領域で使用される医療用品の主要な分類の一つとして位置づけられています。

D09には、特定の薬効成分を含む包帯やドレッシング材など、様々な種類の薬用包帯が含まれます。その下位には、さらに詳細な分類が存在します。

D09の下位分類

D09は、以下のような主要な下位分類に分けられます。

D09A 薬用包帯 (Medicinal dressings)
薬効成分を含む一般的な薬用包帯を包括するカテゴリーです。

D09AA 抗感染薬入り薬用包帯 (Antiseptic dressings with antiinfectives)
この分類には、感染予防や治療を目的として、特定の抗感染成分を含有する薬用包帯が分類されます。具体的な薬剤例としては、以下のようなものがあります。

D09AA01 フラミセチン (Framycetin)
D09AA02 フシジン酸 (Fusidic acid)
D09AA03 ニトロフラール (Nitrofural)
D09AA04 硝酸フェニル水銀 (Phenylmercuric nitrate)
D09AA05 ベンゾドデシニウム (Benzododecinium)
D09AA06 トリクロサン (Triclosan)
D09AA07 セチルピリジニウム (Cetylpyridinium)
D09AA08 アルミニウムクロロハイドレート (Aluminium chlorohydrate)
D09AA09 ポビドンヨード (Povidone-iodine)
D09AA10 クリオキノール (Clioquinol)
D09AA11 ベンザルコニウム (Benzalkonium)
D09AA12 クロルヘキシジン (Chlorhexidine)
D09AA13 ヨードホルム (Iodoform)

D09AB 亜鉛包帯 (Zinc bandages)
酸化亜鉛などを主要成分とする包帯が分類されます。皮膚の保護や収斂（しゅうれん）作用などを目的として用いられます。

D09AB01 サプリメントを含まない亜鉛包帯 (Zinc bandage without supplements)
D09AB02 サプリメントを含む亜鉛包帯 (Zinc bandage with supplements) - 他の成分が添加されている場合。

* D09AX 軟パラフィン包帯 (Soft paraffin dressings)
ワセリンなどの軟パラフィンを基剤とした包帯が分類されます。皮膚の保護や乾燥防止、傷口への固着防止などに使用されます。

獣医学領域での利用

ATCコードは主にヒト用の医薬品・医療用品を対象としていますが、獣医学分野で利用される場合は、対応するATCコードの先頭にアルファベットの「Q」を付加した「ATCvetコード」として表記されます。したがって、獣医学で薬用包帯を分類する際は、「QD09...」のように表現されます。

コードの追加・拡張

WHOが割り当てたコードで分類できない、あるいは国内独自の分類が必要な医療用品が存在する場合、各国は内国レベルの事情に合わせて、WHOが定めた体系の未使用部分を用いてコードを追加したり、拡張したりすることが認められています。

このように、ATCコードD09は、様々な種類の薬用包帯を体系的に分類し、国際的な情報交換や医薬品の管理に役立てられています。その下位分類は、含有成分やその用途によって細分化されており、製品の特性を把握する上で重要な指標となります。

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