AU-23 (航空機)

AU-23 ピースメーカー：COIN/多用途機

AU-23 ピースメーカーは、アメリカのフェアチャイルド社が開発したターボプロップ単発のCOIN（Counter-Insurgency：対反乱作戦）機/多用途機です。1960年代に、フェアチャイルド・ヒラー社（当時）がスイスのピラタス社からPC-6 ターボ・ポーター軽単発機の製造ライセンスを取得したことが開発のきっかけとなりました。

開発経緯

ベトナム共和国空軍（南ベトナム空軍）からの要望に応え、武装可能で短距離離着陸（STOL）が可能な軽量汎用機として、1960年代後半からAU-23の開発が始まりました。36機が製造され、ギャレット TPE331-1-101F ターボプロップエンジンを搭載しています。固定式の主脚には不整地用の高弾性タイヤが装備されており、未舗装の滑走路などでの運用を可能としています。

特徴

兵装搭載能力: 胴体下1か所と主翼下4か所にハードポイントを備え、ガンポッド、ロケット弾ポッド、爆弾などを搭載可能でした。宣伝ビラ散布機も装備できました。
XM197 20mm機関砲: キャビン内部にはM61バルカン砲をベースにしたXM197 20mm3砲身機関砲が搭載可能で、機体側方に向けて射撃できました。これにより、地上目標への攻撃能力を高めています。
乗員構成: 操縦手、副操縦手、砲手の3名が搭乗し、輸送任務時には武装した兵員5名、または乗客6名を輸送できました。
アビオニクス: 軍用の航法/通信機器と兵装管理機器が搭載され、戦術的な運用を支援していました。

運用

1971年1月にアメリカ空軍の第4400特殊作戦飛行隊に初号機が配備され、運用評価が行われました。しかし、戦闘速度の遅さ、運用高度の低さ、兵装投下後の離脱の困難さ、装甲の欠如などが問題視され、戦闘任務には不適と判断されました。

また、フェアチャイルド社からの納入遅延に加え、ベトナムの戦況が悪化したため、AU-23はアメリカ本土に引き上げられ、1972年6月に保管状態となりました。その後、軍事支援プログラムの一環としてタイ王国空軍に供与されました。

運用国

アメリカ空軍（退役）
タイ空軍：2023年時点で16機のAU-23Aを運用中

性能

全幅：15.14 m
全長：11.23 m
全高：3.73 m
主翼面積：22.9 m2
空虚重量：1,870 kg
最大離陸重量：2.767 kg
最大兵装搭載量：903 kg
エンジン：ギャレット TPE331-1-101F ターボプロップ×1
推力：496 kW
最大速度：280 km/h（最適高度）
巡航速度：262 km/h（最適高度）
初期上昇率：457 m/min
実用上昇限度：6,950 m
行動半径：898 km
* ペイロード：兵員10名（最大）または貨物

AU-23 ピースメーカーは、その開発目的を果たせず、短期間でアメリカ空軍から退役しましたが、タイ空軍では現在も運用されており、多用途機として活躍しています。

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