AW609 (航空機)

レオナルドAW609の概要

レオナルドAW609は、民間用のティルトローター機として、アメリカのベル・ヘリコプターとヨーロッパのアグスタウェストランドの合弁企業、ベル/アグスタ・エアロスペース (BAAC)によって開発が始まりました。2003年に初飛行を果たし、その後も開発は続いています。機体の以前の名称はBA609でしたが、2011年に合弁解消に伴いAW609に改名されました。そして、会社名もアグスタウェストランドからレオナルドに変更されたため、機体名もこれに合わせて変更されています。

開発の経緯

レオナルドAW609の開発は1996年から始まり、当初はベル社とボーイング社で共同開発されていましたが、1998年からはベル社とアグスタ社の共同プロジェクトに移行しました。2011年にはアグスタウェストランドが単独で開発を担当することとなり、名称もAW609に改められました。この機体は、従来型の民間回転翼機では難しい500km程度の移動に適した設計となっており、ビジネスジェットを利用する必要のない距離の移動に最適です。

特に公用用途では、遭難者の検索や救助活動において、その広範な捜索範囲を持ちながらホバリング機能を生かした救助が可能で、沿岸警備隊や山岳救助隊などでの活用が期待されています。

機体性能と特長

AW609は、V-22の設計要素を多く取り入れていますが、サイズはかなり小型化されています。V-22が自重15トン、乗員24名収容可能であるのに対し、AW609は自重7.6トン、最大乗客数は9名と設計されています。安定した性能を発揮するために、キャビン内は与圧され、防氷装置も搭載されています。このため、高度飛行や計器飛行が可能で、特にエベレストなどの山岳救助活動においてもその効果を期待されています。

離着陸は回転翼機モードで行い、固定翼機モードになると巡航速度は500km/hに達し、航続距離は約1,500kmを目指しています。この性能はヘリコプターと比較すると格段に優れています。通常のヘリコプターの巡航速度はおよそ300km/h前後であり、AW609はその性能を上回ります。

さらに、AW609の特長として、垂直離着陸機の中でも特徴的な高出力重量比を持ち、片方のエンジンが停止した場合でも安全に飛行を続けることが可能です。

開発の進展

試作機は2003年に回転翼機モードで初飛行に成功し、2005年には固定翼モードへの遷移に成功しました。その後、開発の加速を図る中で、様々な技術的交渉も行われ、2011年には所有権の移転が完了し、試作機はABA609からAW609へと改名されました。

試験飛行や各種テストを経た後、2024年には甲板着艦及びタッチダウン試験も実施され、より実戦的な運用に向けた準備が整ってきています。

主要諸元と性能

• - 全長: 13.45m
• - 全幅: 18.3m
• - 主回転翼直径: 7.9m
• - 自重: 4.7トン
• - 最大離陸重量: 7,620kg
• - 最大巡航速度: 509km/h
• - 航続力: 1,389km

このように、レオナルドAW609は、高速かつ高性能な民間用ティルトローター機としての特性を持ち、様々な用途に対応できる選択肢を提供しています。

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