Acid2

Acid2：Webブラウザの標準準拠度を測るテストケース

Acid2は、Webページのレンダリングにおける問題点を特定するために、ウェブスタンダードプロジェクト(WaSP)によって開発されたテストケースです。Acid1の後継として2005年4月13日に公開され、HTMLやCSS 2.1などのW3C勧告にどの程度準拠しているかを検証するために用いられました。

Acid2テストでは、特定のHTMLとCSSコードを用いて、スマイリーマークを描画しようと試みます。ブラウザがW3C勧告に完全に準拠していれば、正確なスマイリーが表示されます。しかし、準拠していない場合、スマイリーの形状が崩れたり、表示されなかったりするなど、レンダリング結果に差異が生じます。この差異によって、ブラウザの標準準拠度を評価することが可能です。

各ブラウザにおけるAcid2テストの結果

Acid2テストの結果は、ブラウザの種類やバージョンによって大きく異なりました。

合格したブラウザ:

Mozilla Firefox: Geckoレイアウトエンジンバージョン1.9以降を搭載したFirefox 3以降はAcid2テストに合格しました。それ以前のバージョン、例えばGecko 1.8を用いたFirefox 2などは不合格でした。
Internet Explorer: MicrosoftはCSS標準準拠度の向上に努めていましたが、Internet Explorer 7はAcid2テストに合格しませんでした。しかし、Internet Explorer 8では、新しいレンダリングモードである「IE8標準モード」が導入され、このモードを有効化することでAcid2テストに合格するようになりました。ただし、初期設定ではIE8標準モードは無効になっていたため、すべてのユーザーがAcid2テストに合格した結果を体験できたわけではありませんでした。その後、マイクロソフトの方針変更により、フル標準モードがデフォルトとなり、互換モードを利用する場合のみ、IE7エミュレートボタンやmeta要素による明示的な設定が必要となりました。
その他、Acid2テストに合格したブラウザとして、多くのブラウザが挙げられます。ただし、ページのスクロールやフォント、ウィンドウサイズなどの条件によって、スマイリーの表示が不正確になる場合がある点には注意が必要です。これは、ブラウザがテストに不合格であることを意味するものではありません。

不合格だったブラウザ:

Internet Explorer 7以前のバージョンは、Acid2テストに合格しませんでした。マイクロソフトのクリス・ウィルソンは、Acid2を標準適合性テストというよりも、機能の要望リストと表現しました。
Firefox 2など、Gecko 1.8以前のレイアウトエンジンを採用したブラウザも不合格でした。
その他、NetFrontや、それをベースとしたプレイステーション3のWebブラウザなどもテストに失敗しました。

Acid2テストの意義とその後

Acid2テストは、Webブラウザの標準準拠度を可視化することで、開発者にとって重要な指標となりました。Web標準への準拠を促し、より正確で互換性の高いWebページの表示を実現するための取り組みを促進する役割を果たしました。

Acid2の後継テストであるAcid3が2008年3月に公開されたことにより、Acid2テストの重要性は徐々に低下していきました。Acid3はAcid2よりもさらに高度なテストであり、より多くのHTML5やCSS3の機能を網羅しています。しかし、Acid2はWeb標準の歴史において重要な役割を果たしたテストケースとして記憶されています。

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