Acid3

Acid3テスト：Webブラウザの標準準拠度を測る試金石

Acid3テストは、Web標準プロジェクトによって開発されたテストページです。このテストは、Webブラウザが現代的なWeb標準、特に文書オブジェクトモデル（DOM）とJavaScriptにどの程度準拠しているかを評価するために設計されました。2007年4月から開発が始まり、2008年3月3日にリリースされました。Acid2テストの後継として、より高度なWeb技術に対応しています。

Acid2テストが主にCSSに焦点を当てていたのに対し、Acid3テストはECMAScriptやDOM Level 2といった、動的でインタラクティブなWebサイトで広く使用される技術を網羅しています。SVG、XML、data URIといった技術に関するテスト項目も含まれており、2004年当時のWeb標準仕様を反映しています。

テストの実行はシンプルです。ブラウザでAcid3テストページを開くと、テストが実行され、合格した項目数に基づいてパーセンテージで結果が表示されます。合格時には、色のついた長方形の背景と、上昇するパーセンテージカウンターが表示されます。さらに、ブラウザは参照ページと全く同じようにページをレンダリングする必要があります。Acid2テストと異なり、フォントレンダリングにおけるわずかな違いは許容されます。参照レンダリングはビットマップではなく、より柔軟な判定基準となっています。

各ブラウザにおけるAcid3テストの結果

Acid3テストの結果は、ブラウザの開発競争において重要な指標となりました。以下は、2010年4月時点（モバイルブラウザは2009年9月1日時点、ゲーム機ブラウザは2010年1月6日時点）での主要ブラウザのテスト結果です。

デスクトップブラウザ

Internet Explorer: 9.0プレビュー版では段階的にスコアが向上し、最終的に正式版で100点満点を達成しました。マイクロソフトは、Acid3テストへの完全な合格を優先目標とはしていませんでしたが、開発の過程で準拠性を高めていきました。
Mozilla Firefox: 3.6では94点、6.0.2で100点満点を達成しました。
Opera: 2008年3月26日に開発者向けバージョンでAcid3に対応、同年12月にバージョン10.0アルファ版で満点を達成し、2009年9月1日に正式版で満点となりました。
Safari: WebKit Nightly Buildsで2008年3月に満点を達成。2009年6月8日にリリースされたSafari 4.0で正式に満点となりました。
Google Chrome: バージョン2.0では満点でしたが、画像上にノイズが表示される問題があり、完全な合格とはみなされませんでした。2010年1月26日にリリースされた4.0.249.78正式版で問題が解決し、満点を達成しました。しかし、後のバージョンではスコアが低下した時期もありました。
Konqueror: 89点

モバイルブラウザ

Mobile Safari (iPhone, iPod touch, iPad): 100点でしたが、画像上にノイズが表示される問題がありました。
Opera Mobile: 9.7正式版で満点を達成しました。
Opera Mini: 98点でしたが、画像レイアウトに問題がありました。
Internet Explorer Mobile: IE Mobile 8.12では14点でしたが、IE9 Mobileでは95点、Acid3仕様変更後には100点となりました。

ゲーム機ブラウザ

PlayStation 3: 100点
PlayStation Portable: 11点
PlayStation Vita: 100点
Wii インターネットチャンネル: 40点
ニンテンドーDSi: 60点
ニンテンドー3DS: 92点
Newニンテンドー2DS LL: 100点
Wii U: 100点

Acid3テストは、ブラウザ開発におけるWeb標準への対応状況を可視化し、開発を促進する役割を果たしました。しかし、このテストが万能ではない点は留意する必要があります。Acid3テストは、Webブラウザの機能を完全に網羅しているわけではありません。あくまでWeb標準への準拠度を測る一つの指標として活用すべきです。

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