Adobe InCopy

Adobe InCopyは、アドビが販売するデスクトップパブリッシング（DTP）ソフトウェアです。主に、同じくアドビが提供するDTPソフトウェアであるAdobe InDesignと連携して使用されます。InCopyの最大の特徴は、複数人で同時に同じInDesignドキュメントを編集できる点です。

概要

InCopyは、Adobe Creative Cloud (CC) に含まれるアプリケーションの一つで、InDesignと組み合わせて使用することで、チームでのDTP作業を効率化します。クラウド上に保存されたInDesignのデータに対し、複数のメンバーが同時に異なる作業を行うことができ、それぞれの変更履歴を保持できます。最終的には、どの変更を適用するかを選択することが可能です。

InCopyは、InDesignのようなレイアウト編集機能は持たず、テキスト編集に特化したツールです。テキストの表示形式は、以下の3つのビューで切り替えることができます。

ゲラビュー: 最終レイアウトに基づいたテキストのみを表示します。
ストーリービュー: レイアウトに関わらず、テキストのみを連続して表示します。
レイアウトビュー: 完成形のレイアウトを表示します。

これらのビューを切り替えることで、デザイナー、執筆者、編集者など、それぞれの役割に応じて最適な表示で作業できます。印刷物の版下を作成する際、執筆者は通常、レイアウトに直接関わることは少ないため、InCopyはテキスト編集に必要な機能に特化し、InDesignの機能を簡略化したものと言えます。

ワークフロー

実際のワークフローでは、まずデザイナーがInDesignで紙面のレイアウトを作成し、クラウドにアップロードします。次に、執筆者はInCopyでそのデータを開き、テキスト領域に文章を入力します。この方法により、文字数制限やレイアウトによる文字の増減に影響されることなく、文章の作成や修正が可能です。

InCopyは、このように事前にレイアウトが決まっている「先割レイアウト」と呼ばれる編集方式において、各担当者の作業をスムーズに進めるための強力なツールとなります。執筆者はテキスト作成に集中でき、デザイナーはレイアウトに集中できるため、効率的な共同作業が実現します。

バージョン

InCopyは、以下のバージョンがリリースされています。

InCopy CS2：2005年5月
InCopy CS3：2007年4月
InCopy CS4：2008年12月
InCopy CS5：2010年5月
InCopy CS6：2012年5月
InCopy CC：2013年6月
InCopy CC 2014：2014年6月
InCopy CC 2015：2015年6月

関連製品

InCopyは、以下のAdobe製品と連携して使用されることが多いです。

Adobe InDesign
Adobe Illustrator
Adobe Photoshop
Adobe Acrobat

外部リンク

Adobe InCopy (公式サイト)

InCopyは、DTPワークフローにおいて、テキスト編集を担当するメンバーにとって不可欠なツールです。特に、複数人で一つのドキュメントを編集する場合には、その効率性を最大限に発揮します。

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