AirStation One-Touch Secure System

AirStation One-Touch Secure System (AOSS)とは

AirStation One-Touch Secure System（AOSS）は、株式会社バッファローが開発した無線LAN（Wi-Fi）設定を簡単にするためのシステムです。主に同社の無線LANルーター「AirStation」シリーズに搭載されています。一般的には「AOSS（エーオーエスエス）」という略称で知られています。

AOSSは、NECアクセステクニカ（現：NECプラットフォームズ）の「らくらく無線スタート」と並び、無線LAN設定の簡素化に大きく貢献した二大システムとして広く認識されています。これらのシステムは、Wi-FiアライアンスがWPS（Wi-Fi Protected Setup）を策定するきっかけの一つとなりました。

AOSSの概要

AOSSは2003年に発表されました。その最大の特徴は、無線LANの親機（アクセスポイント）と子機（端末）の両方でAOSSボタンを同時に押すだけで、無線LANのセキュリティ設定（暗号化など）が自動的に完了するという手軽さにあります。

幅広い機器への搭載

AOSSの技術は、パソコンだけでなく、様々な機器に組み込まれていました。例えば、ソニーの携帯ゲーム機PlayStation Portable（PSP）のインフラストラクチャモードにおけるアクセスポイント設定や、任天堂のニンテンドーDSにおける「ニンテンドーWi-Fiコネクション」のアクセスポイント設定などに採用されています。その他、PlayStation 3、PlayStation 4|PlayStation_4、Wii、Wii U、ニンテンドー3DS、PlayStation Vitaなど、多くのゲーム機で利用されていました。

ClientManagerの進化

バッファローが提供する無線LAN接続ソフトウェア「ClientManager」のバージョン3以降では、バッファロー製品以外の無線LAN端末でもAOSSによる設定が可能になりました。

セキュリティに関する注意点

初期のAOSSでは、一つのSSIDに対して一つの無線暗号しか設定できない仕様でした。そのため、接続する機器の中で最も低いセキュリティレベルの暗号化方式が選択されてしまうという課題がありました。例えば、最新の暗号化方式であるCCMP(AES)に対応した機器と、古いWEPにしか対応していない機器が混在する場合、全ての機器がWEPで接続されることになっていました。しかし、最近では、複数のSSIDを設定し、接続する機器ごとに異なる暗号化方式を適用できる機種も登場しています。

2009年以降に発売されたAirStationのAOSSボタンは、従来のAOSS機能に加えて、WPS（Wi-Fi Protected Setup）にも対応しています。

標準で対応している暗号化方式は、WPA2には対応しておらず、WPA-PSK-CCMP (AES)、WPA-PSK-TKIP、WEPです。

AOSSの設定方法

AOSSの設定は、以下の手順で行います。

1. パソコンに接続した子機から、ClientManagerのAOSSボタンを押します（PSPやニンテンドーDSも同様の手順です）。
2. アクセスポイントをAOSSモードにします。これには、以下の2つの方法があります。
アクセスポイント本体に搭載されたAOSSボタンを押す。
Webブラウザからアクセスポイントの設定画面を開き、メニューにあるAOSSボタンを押す。

なお、AOSSとWPSの両方に対応している場合、WPSが優先的に使用されます。

AOSSの課題

パソコンからAOSSを利用する場合、専用のアプリケーションソフトウェア「ClientManager」が必要となります。しかし、ClientManagerはWindows 98SE以降のデスクトップパソコンおよびノートパソコンにのみ対応しており、対応OSが限られているという課題がありました。

ClientManagerが利用できない環境でAOSSのネットワークに参加するためには、以下のいずれかの方法が必要となります。

AOSSに対応したイーサネットコンバーターを使用し、有線LANとして認識させる。
アクセスポイントの設定画面からAOSSの暗号キーを確認し、手動で入力する。

AOSS2

AOSS2は、2012年6月6日に発表された新しいバージョンです。AOSS2に対応したルーターでは、パソコンを使用せずに、スマートフォンやタブレットなどのAndroid/iOS端末だけで無線LANの設定が可能です。特に、WPSに対応していないiOSデバイスでの設定が大幅に簡略化されます。AOSS2は、WindowsとmacOSにも対応しています。

AOSS2の設定方法

AOSS2の設定は、以下の手順で行います。

1. アクセスポイントをAOSSモードにします。
2. クライアント端末から、「!AOSS」で始まるSSIDに接続します。
3. WebブラウザでAOSS2キーを入力します（画面上のボタンでしか受け付けません）。
4. iOSの場合はプロファイルがインストールされ、iOS以外の場合は従来のAOSSで設定が完了します。

競合技術

らくらく無線スタート - NECプラットフォームズ（旧NECアクセステクニカ）
Wi-Fi Protected Setup (WPS) - Wi-Fiアライアンスが策定した規格。AOSSと同様の機能を提供する。

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