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アラブ首長国連邦の火星探査機「ホープ」

アラブ首長国連邦（UAE）の火星探査機「ホープ」は、アラビア語で「希望」を意味します。この探査機は、UAEの建国50周年を祝うために、ドバイの政府宇宙機関であるMBRSC（Mohammed Bin Rashid Space Centre）によって計画され、2020年7月20日に日本の種子島宇宙センターからH-IIAロケットで打ち上げられました。ホープ探査ミッションの正式名称は「Emirates Mars Mission」で、火星に関する重要な科学データを収集することを目指しています。

打ち上げと火星到達

2021年2月9日に、ホープは無事に火星周回軌道に入ることに成功しました。この成果は、アメリカ、ロシア、欧州、インドに続いて、火星周回軌道に到達した5番目の探査機となり、中東・アラブ諸国としても初の成功事例となります。探査機は、火星のデータを観測し、気象、大気の散逸、及び構成物質に関する調査を行い、これにより火星が「死の惑星」と呼ばれる理由を明らかにすることを目指しています。

構造と技術

「ホープ」は、約1.5トンの重さで、軽量のアルミニウム・ハニカム構造を持つ六角柱状のデザインです。探査機は、600ワットの発電出力を持つ3枚の太陽電池パドルを装備しており、堅実な設計が特徴です。全長は2.9メートル、幅は2.37メートルです。

通信と姿勢制御

ホープには、1.5メートルの高利得アンテナと無指向性の低利得アンテナの他に、誘導スタートラッカーや太陽センサーが搭載されており、効率的な通信を実現しています。また、推力5ニュートンの化学スラスターを8基から12基搭載し、3軸姿勢制御を行っています。さらに、推進系には推力120ニュートンのスラスターを4基から6基搭載し、冗長性を確保しています。

予定される観測項目

「ホープ」には、以下の3つの主要な観測装置が搭載されています：

• - Emirates eXploration Imager（EXI）: 高解像度のカラー画像を撮影し、火星大気中の氷や砂塵、オゾンを観測します。
• - Emirates Mars Ultraviolet Spectrometer（EMUS）: 紫外線を用いて、火星全体の上層大気から酸素や水素がどのように流出するのかを調査します。
• - Emirates Mars InfraRed Spectrometer（EMIRS）: 赤外線を使用して、火星大気の温度分布や氷、水蒸気、塵を観測します。

歴史的な打ち上げ

• - 2020年4月20日: 日本に輸送開始。
• - 2020年5月18日: 三菱重工が打ち上げ計画を発表。
• - 2020年7月20日: 日本時間6時58分14秒に打ち上げ。
• - 2021年2月9日: 火星周回軌道投入に成功。
• - 2021年2月11日: 初の火星画像を撮影、2月14日に公開されました。

この「ホープ」ミッションは、UAEの宇宙探査の重要な一歩であるだけでなく、火星に対する理解を深めるための貴重なデータを提供することが期待されています。

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