Alpine

Alpineは、ワシントン大学が開発したテキストベースの電子メールクライアントです。前身であるPineのライセンス上の問題を解消し、より自由なApache Licenseの下で配布することを目的に、2005年後半にプロジェクトが開始されました。

名称の由来

Alpineという名称は、"Alternatively Licensed Program for Internet News and Email"の頭文字から取られています。

歴史

2007年12月20日、最初の正式版となるAlpine 1.0がリリースされました。このバージョンでは、Linux、Windows、Mac OS X、そしてNokia N800向けのバイナリが配布されました。

その後、2008年3月17日には不具合修正を中心としたAlpine 1.10がリリースされ、同年8月26日にはWeb Alpineインターフェースを再設計したAlpine 2.0がリリースされました。

ワシントン大学によるリリースは2.0が最後となり、今後はコミュニティ主導の開発へと移行してほしいとのメッセージが残されました。その後、2017年春にはソフトウェアとソースコードの配布が終了し、2019年春には公式サイトも閉鎖されました。

派生版

re-alpine

ワシントン大学による開発終了後、Alpineの開発を継続する目的で、2009年6月にSourceForge上でre-alpineプロジェクトが立ち上がりました。

2009年8月3日にre-alpine 2.01がリリースされ、2010年10月2日にはre-alpine 2.02がリリースされました。このバージョンからWindows版の配布はなくなりました。2012年12月21日にはre-alpine 2.03がリリースされましたが、ソースコードのみの提供となり、このバージョンを最後に活動は事実上停止しています。

Eduardo ChappaによるAlpine

ワシントン大学のAlpineプロジェクトに貢献していたEduardo Chappaは、様々なパッチを集め、自身のサイトで開発を始めました。現在、Debianなどの主要なLinuxディストリビューションでは、このEduardo Chappa版のAlpineが採用されています。また、Windows用のバイナリ配布も再開されました。

Eduardo Chappa版のAlpineは、re-alpineとのバージョン番号の重複を避けるため、独自のバージョン体系を採用しています。

2013年1月16日 - バージョン2.10をリリース
2013年8月12日 - バージョン2.11をリリース
2015年1月16日 - バージョン2.20をリリース
2017年3月17日 - バージョン2.21をリリース
2020年1月20日 - バージョン2.22をリリース
2020年6月19日 - バージョン2.23をリリース


Alpineは、テキストベースで動作するため、動作が軽く、ネットワーク環境が不安定な状況でも比較的安定して利用できるという利点があります。また、キーボード操作に特化しているため、マウス操作に不慣れなユーザーや、より効率的な操作を求めるユーザーにとって魅力的な選択肢となっています。長年にわたり開発が続けられ、多くのユーザーに利用されているメールクライアントです。

外部リンク

Alpine公式サイト - ウェイバックマシン（2019年3月13日アーカイブ分）
re-alpine公式サイト
* Eduardo ChappaによるAlpine

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