An (求人情報)

『an』の歴史と発展

日本におけるアルバイト・パートタイマー向けの求人情報として知られた『an』は、その歴史を通じて多くの人々に利用されてきました。この雑誌の前身である『アルバイトニュース』は、1967年に創刊され、創刊当初はたった10円で手に入れることができました。その後、1968年には日刊の形態を強調し、誌名を『日刊アルバイトニュース』に変更。1990年からは『デイリーan』との新たな誌名に変更され、さらに発展していくことになります。

誌名変更後も、『an』はアルバイト求人情報の提供を続け、日本各地に展開しながら多くの利用者を獲得しました。1986年には『an』に改題された際も、前身のアルバイトニュースという名称は副題として残されていました。この時期には、雑誌自体のキャッチコピー「求められる人を求める人に」が多くの人々に親しまれ、CMなどでの認知度も高まりました。関西や中京、九州地方へも進出し、広く知られる存在となりました。

発行形態に関しては、創刊以来日刊として続けられてきましたが、1994年には月・水・金の週3回、さらに2005年からは月曜日と木曜日の週2日発売に縮小を余儀なくされました。インターネットの普及に伴い、雑誌に加えて「モバイルan」や「WEB an」といったオンラインプラットフォームでも求人情報を提供することとなりました。特に2015年にはLINEと提携し、LINEバイトとしても求人情報を提供し始めたことが新たな展開となります。

さらに、2013年には有料版とフリーペーパー版を統合し、『an』という名称に一本化されました。フリーペーパーでは、地域に根ざした情報を提供しながら広がりを見せていましたが、2015年以降はその発行が休止されるなど、次第に誌面の縮小が進むことになります。2017年には、札幌・東海・福岡エリアにおけるフリーペーパーも休刊し、ついにはWeb媒体に一本化される形となりました。

Webサービスは地域特化の『anエリア』や社員向けの『anレギュラー』、女性向けの求人サービス『Salida』などを展開していましたが、2016年から2017年にかけて徐々に統合され、2017年8月には新たにリニューアルされたWeb『an』が誕生しました。

しかし、2019年に入り、発表されたのは『an』および関連サービスの全てを11月25日で終了することでした。これにより、LINEバイトへの情報提供も終了し、同年8月にはパーソルキャリアがLINEバイト株式会社から撤退。結果として『LINEバイト』自体はマイナビに提携先を変更してサービスを継続することとなりました。

『an』の終了は、同社の約600名の従業員にとっても影響を及ぼし、その後、求人情報サイト『DODA』などへの異動が行われました。また、親会社であるパーソルホールディングスは、2020年3月期に35億円の特別損失を計上しています。また、特別号やテレビCM、大型イベントへのスポンサー活動といった多様な取り組みも行ってきた『an』は、最後の瞬間まで多くの支持を集めていました。

このように、『an』は日本の求人情報誌の中で重要な役割を果たしつつ、多様な発展と縮小を経験しながら、その歴史に幕を下ろしました。

もう一度検索