An-12 (航空機)

An-12輸送機の概要

An-12（ロシア語：Ан-12、英：An-12）は、ソ連のアントノフ設計局により開発された4発ターボプロップ貨物輸送機です。NATOコードネームでは「カブ」（Cub）として知られています。この機体は、同設計局によるAn-10旅客機をもとに貨物機としての特性が強化されており、主に航空輸送に用いられました。

開発の経緯

An-12の開発は、既存のAn-10シリーズに関連する横安定性の問題を解決するために行われました。このため、機体のデザインには大型の垂直尾翼が採用され、安定性が向上しています。原型機は1957年3月に初飛行し、さらに1959年にはAn-12BPがソ連空軍に配備されました。

パフォーマンスと数値

An-12は、アメリカ合衆国のC-130 ハーキュリーズと非常に近い性能を持ちながら、特に貨物輸送に適した設計がなされています。全長33.10m、全幅38.00m、高さ10.53mの大きさで、機体重量は約28トン、最大離陸重量は61トンに達します。最大搭載重量は20トン、巡航速度は670km/hとされています。航続距離も5,700kmと長距離飛行が可能です。

生産と運用

An-12は合計で1,243機が製造され、1972年に生産が終了しました。このうち約900機が民間用途に回され、ソ連や東欧の社会主義国家、西側諸国でも広く運用されました。

特筆すべきは、An-12は中国でもライセンス下で生産され、Y-8として知られています。中国は1960年代に数機を購入し、更にライセンス生産を開始しましたが、中ソ対立の影響で生産が遅れ、生産型が初飛行したのは1974年となりました。1981年には西安航空機廠でY-8の量産が始まり、その後も改良を続けた結果、Y-8F-600やY-9などの派生型が開発されています。

現在の運用状況

21世紀に入った今でも、An-12は多くの国々で現役の輸送機として運用されています。特に、旧ソ連圏の国々やアフリカ諸国での利用が続いており、2006年には179機が77社により運行されていました。

運用国

An-12とその派生機は、アフガニスタン、アルジェリア、バングラデシュ、インド、ロシアを含む多数の国で運用されています。また、民間航空会社でも多くの機体が飛んでおり、アエロフロートやエジプト航空など、多岐にわたる航空会社が利用しています。

スペック

An-12BPの主な仕様は以下の通りです。

• - エンジン：AL-20LまたはAL-20M ターボプロップ×4
• - 最大上昇高度：10,200m
• - 乗員数：5名
• - 武装：NR-23 23mm機関砲2門の搭載が可能

このように、An-12はその高い汎用性と信頼性から、多くの国々で60年以上にわたり運用され続けています。

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