貨物機

貨物機（かもつき）

貨物機とは、主に貨物の輸送を目的とした航空機を指します。これは、民間と軍用の両方で使用され、人や物を運ぶための専門的な設計がなされています。特に民間用の輸送機は、旅客機と貨物機に区分されており、英語では「freighter」「airlifter」「cargo aircraft」として知られています。貨物機を運行している企業は、貨物航空会社と呼ばれます。

概要

初期の貨物機は専用設計のものが少なく、郵便便として使われたものが多かったため、旅客・貨物の両方を扱う機体が主流でした。しかし、第二次世界大戦後、航空輸送の需要が増大し、大型機の利用が進む中で、貨物専用機の開発が本格化しました。この背景には、貨物輸送の需要が高まり、旅客機が快適なキャビンを持つようになったことで、貨物機は専用設計にする利点が明確になったことがあります。

現代の貨物機は、もともと旅客機として設計された機体をもとに、機内の改装が行われることが一般的です。外見では、キャビンの窓がない代わりに大型のカーゴドアを装備していたりします。また、ペイロード（積載量）に対応すべく、主翼付け根の強化や着陸装置の強化も行われています。軍用機では高翼配置が主流ですが、民間の貨物機では旅客機の設計に基づく低翼配置が多く見られます。

さらに、特異な設計を持つ貨物機も存在します。例えば、ボーイング747の一部やA300-600STベルーガでは、機首が上がる「ノーズドア」を持つものや、胴体後部が開く「スイングテール」を持つ機体があります。これにより、積み荷の出し入れが容易になる工夫がされています。

貨物機は旅客機に比べて多くのペイロードを積載する設計になっていますが、燃料消費が多く、最大ペイロードでの運用時には、タンクの半分程度の燃料しか搭載できない場合があります。これが原因で、貨物機は一般に旅客機よりも航続距離が短く設定されることが多いです。例えば、極東から欧州への路線では、旅客機は長時間のフライトが可能ですが、貨物機は従来の中継地で給油を行うことが一般的です。

最近では、旅客機に大型ドアを追加して貨物機としても使用されることがある「コンビ機」という形態もあります。このような機体は、特に採算が取れにくい地方路線で利用されています。さらに、混載輸送が行われることもあり、ロワーデッキにユニット・ロード・デバイスを使って輸送する方式も普及しています。

近年、貨物機の利用が多くなり、ピーク時には空荷の可能性が高くなることや、求められる積荷の高さに応じて、貨物機の運用をやめたり、コンビネーションキャリアに切り替える航空会社も増えてきました。

主な貨物機の一覧

• - ボーイング 747シリーズ（-200F/-400F/-400ERF/-8F）
• - ボーイング 757-200PF
• - ボーイング 767-300F
• - ボーイング 777F
• - マクドネル・ダグラス MD-11F
• - エアバス A310-200F
• - エアバス A380-800F
• - アントノフ An-124 ルスラーン（量産機の中では世界最大）
• - アントノフ An-225 ムリーヤ（世界最大の貨物機）

これらの機体はそれぞれに特長があり、航空貨物のニーズに応じた設計や性能を備えています。

もう一度検索