Apple Filing Protocol

Apple Filing Protocol (AFP)詳解

Apple Filing Protocol（AFP）は、Appleが開発したファイル共有プロトコルで、Classic Mac OSおよびmacOSにおけるファイル共有サービスの中核を担っていました。AppleTalkというApple独自のネットワークプロトコルと密接に関連しており、初期のバージョンはAppleTalk上で動作していましたが、AFP 2.2以降はTCP/IP上でも動作するようになり、互換性の幅を広げました。

AFPの進化とmacOSとの関係

AFPは、Mac OSのファイルシステムであるHFSやHFS Plusの独自のファイル属性（リソースフォーク、タイプ/クリエータなど）を扱うための機能を備えており、Mac OSの進化に合わせてバージョンアップを繰り返しました。Mac OS 9までは、AFPが標準的なファイル共有プロトコルでしたが、macOSの登場と共にSMB、NFS、FTP、WebDAVなどの代替プロトコルが利用可能になり、AFPの重要性は相対的に低下しました。

macOS Catalina以降は、APFSファイルシステムが必須となったため、AFPによるファイル共有機能は事実上廃止されました。ただし、macOS Serverなど、一部の環境ではAFPによる共有が引き続きサポートされています。

AFPの機能と特徴

AFPは、Mac OS固有のファイル属性を維持しながらファイル共有を実現する点が大きな特徴です。そのため、Mac環境間のファイル共有においては、データの整合性を保つ上で重要な役割を果たしてきました。しかし、WindowsやLinuxなどの非Mac OS環境とのファイル共有では、これらの独自の属性の扱いが課題となります。Windowsでは、以前はService for Macintosh (SFM) がAFPをサポートしていましたが、Windows Server 2008以降では廃止されています。UNIX系OSでは、netatalkなどのオープンソースソフトウェアがAFPサーバ/クライアントとして利用可能です。

AFPは、バージョンを重ねるごとに機能が拡張され、セキュリティやパフォーマンスが向上しました。AFP 3.xでは、TCP/IPのみをサポートし、Unicodeファイル名やPOSIXパーミッションモデルに対応するなど、現代的なファイル共有プロトコルの要件を満たすようになっています。

AFPのバージョン

AFP 1.1/2.0: AppleTalkプロトコル上で動作。
AFP 2.1/2.2: AppleTalkとTCP/IPの両方をサポート。AFP 2.2はTCP/IPベースのAFP over TCPとして知られています。
AFP 3.x: TCP/IPのみをサポート。Unicodeファイル名、POSIXパーミッション、拡張属性などをサポートし、Time Machineバックアップにも利用されました。

ファイル名の扱い

AFPでは、Short Name（8.3形式）、Long Name（31バイト制限）、AFPName（Unicode対応、長さ制限なし）の3種類のファイル名形式を扱うことができます。Mac OS 9まではLong Name（31バイト制限）が一般的でしたが、macOSではAFPNameが主流となりました。

AFPサーバのブラウジング

AFPサーバの検出には、初期はAppleTalkのNBP (Name Binding Protocol) を使用していましたが、TCP/IP環境ではSLP (Service Location Protocol) やBonjour (Zeroconf) が使用されます。そのため、古いMacと新しいMac間での互換性の問題が発生することがあります。

AFPの実装例

AppleShare: Classic Mac OS向けの商用ソフトウェア
パーソナルファイル共有: Classic Mac OSおよびmacOSの標準機能
macOS Server: macOS Serverの標準機能
Microsoft Windows Server: 以前はSFMを提供していましたが、現在は廃止
Netatalk: Unix系OS向けのオープンソースAFPサーバ/クライアント

まとめ

AFPは、Mac OS環境におけるファイル共有において重要な役割を果たしたプロトコルですが、macOSの進化に伴い、その重要性は低下し、現在では多くの場面でSMBなどの代替プロトコルに置き換えられています。しかし、macOS Serverなどの環境では、現在でも利用されているため、その歴史と技術的特徴を理解することは、Mac OSの歴史を知る上で重要です。また、レガシーシステムとの互換性維持においても、AFPの知識が役立つ場合があります。

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