HFS Plus

HFS+ (Hierarchical File System Plus) とは



HFS+は、Appleが開発したファイルシステムで、1998年1月にリリースされたMac OS 8.1から採用されました。開発コード名は"Sequoia"。日本では「Mac OS 拡張フォーマット」とも呼ばれています。HFS+は、従来のHFSファイルシステムの制限を克服し、より大容量のストレージやファイルに対応するために設計されました。

HFS+登場の背景



HFS+が登場する以前のMacintoshでは、フロッピーディスクや数十MBのハードディスクドライブが主なストレージデバイスでした。その後、MacintoshのハードディスクはSCSI接続から安価なATA接続へと移行し、大容量ストレージが手軽に利用できるようになりました。しかし、映像制作や音楽制作などのプロの現場では、扱うファイルサイズが大きいため、HFSのファイルサイズ上限が深刻な問題となっていました。

HFS+の主な特徴



  • - ブロックサイズの固定: ブロックサイズを4KBに固定することで、以前よりも大量のファイルを扱えるようになりました。
  • - 大容量ファイル対応: 巨大なサイズのファイルをサポートし、ファイルサイズの上限が大幅に緩和されました。
  • - Unicodeの利用: ファイル名にUnicodeを使用することで、多言語のファイル名を扱えるようになりました。
  • - 長いファイル名: 長いファイル名を使用できるようになり、ファイル管理がより柔軟になりました。
  • - マルチフォークの拡張: HFSのマルチフォークシステムを拡張し、多くのフォークを利用できるようになりました。これにより、拡張属性の保存もサポートされました。
  • - ジャーナリング機能: 2002年11月11日のMac OS X v10.2のアップデートで、ジャーナリングファイルシステム機能が追加され、データ信頼性が向上しました。
  • - メタデータ対応: Mac OS X v10.3では、ファイルにメタデータ部が追加され、ファイルの情報をより詳細に管理できるようになりました。また、頻繁にアクセスされるファイルをドライブの外周の高速な領域に移動し、断片化を解消するHot File Adaptive Clusteringが導入されました。
  • - HFSX: HFS+の拡張バージョンであるHFSXも導入され、ディレクトリとファイルの名前の扱いが変更されました。
  • - アクセス制御リスト（ACL）: Mac OS X v10.4では、UNIXパーミッションに加えて、Windows XP/Server 2003のACLと互換性のあるACLがサポートされました。また、拡張属性もサポートされました。
  • - 圧縮機能: Mac OS X v10.6では、圧縮機能がサポートされ、ディスク容量を有効活用できるようになりました。

その他の対応状況



  • - iPod: Macintoshだけでなく、iPodにも採用されていました。
  • - Microsoft Windows: Windowsでは、読み取りのみが可能です。Boot CampのHFS+ドライバやHFSExplorer、jHFSplusなどのツールを利用することで、HFS+ボリュームを読み込んだり、ファイルをコピーできます。商用ユーティリティであるMacDriveを使用すると、読み書きも可能です。
  • - FreeBSD: FreeBSDでは、5.3-RELEASE以降でマウントできます。
  • - Linux: Linuxでは、カーネル2.4.22以降でマウントできます。
  • - Xbox 360: Xbox 360では、HFS+でフォーマットされたiPodを読み込むためのマイクロソフト製ドライバが搭載されています。

HFS+の終焉とAPFSへの移行



macOS High Sierraで、Apple File System (APFS) が標準となり、macOS MojaveではHFS+は起動ボリュームとして使用できなくなりました。ただし、スタンドアロン式インストーラ用のOSは引き続きHFS+からのみ起動可能であり、APFSからの起動はmacOS MontereyのインストーラOSにおいてもサポートされていません。

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