Arc アーク

『Arc アーク』は、2021年6月25日に公開された日本映画で、監督は石川慶、主演は芳根京子が務めました。SF作家ケン・リュウの短編小説『円弧（アーク）』を原作とし、人類初の不老不死となった女性の誕生をきっかけに、世界がどのように変化していくのかを描いた作品です。

物語の始まり
物語は、奔放な19歳のリナが、年上の女性エマと出会うところから始まります。エマは「ボディーワークス社」を経営しており、遺体を樹脂で満たして生前の姿のまま保存する技術（プラスティネーション）を用いていました。リナはこの技術を学び、やがて第一人者へと成長します。

不老不死の誕生
エマの弟である天音は、プラスティネーションを発展させ、生きている肉体を永遠に保つ技術を開発します。この技術により、リナは30歳で世界初の不老不死の女性となります。しかし、エマは永遠の命が必ずしも幸せではないと考え、自ら施術を受けることなく亡くなります。一方、リナは天音と結婚し、不老不死の夫婦となりますが、天音は特異体質により急速に老化し、他界してしまいます。

不老不死が普及した世界
天音が残した凍結精子により、リナは85歳で娘ハルを出産します。不老不死の技術は普及しましたが、経済的な理由や個人の価値観から、老いていくことを選ぶ人々もいました。リナは高齢者施設「天音の庭」を開設し、娘ハルと共に暮らします。そこでリナは、入所してきた老婦人の夫が、自分が17歳で生んだ息子であることに気づきます。息子は不老不死の技術を得る機会があったにも関わらず、妻の最期を看取った後、海へ出て帰らぬ人となります。

自ら死を選ぶ
やがて135歳となったリナは、娘や孫娘と穏やかな生活を送りますが、自ら死を選ぶことを決意します。娘たちは翻意を促しますが、リナの意思は変わりません。人類で初めて不死となった女性は、自ら死を選ぶという結末を迎えます。

キャストとスタッフ
本作では、リナ役を芳根京子が演じ、135歳のリナは倍賞千恵子が演じています。他にも寺島しのぶ、岡田将生、清水くるみ、井之脇海、中村ゆり、風吹ジュン、小林薫など、実力派俳優が多数出演しています。監督は石川慶が務め、脚本は石川慶と澤井香織が共同で執筆しました。音楽は世武裕子、撮影監督はピオトル・ニエミイスキ、美術は我妻弘之が担当しています。

作品のテーマ
『Arc アーク』は、不老不死というSF的な設定を背景に、人間の生と死、そして人生の意味を深く問いかける作品です。不老不死を得たことで、人間の価値観や社会がどのように変化するのか、そして、その中で人々はどのように生きるのかを、観る者に考えさせます。アンチエイジングが進む現代において、本作は、ストップエイジングという未来が、決して遠い話ではないことを示唆しています。

監督の言葉
石川慶監督は、「不老不死の物語は数あれど、ケン・リュウが描いた物語は単なる不死への警鐘ではない」と語っています。そして、「不死という未知の存在を手にした身体に対して、自分たちの知識や価値観が追いつけているのかを強く問いかけている」とコメントしています。

作品情報

• - 原作: ケン・リュウ『円弧（アーク）』
• - 監督: 石川慶
• - 主演: 芳根京子
• - 公開日: 2021年6月25日
• - 配給: ワーナー・ブラザース映画

『Arc アーク』は、SFファンだけでなく、人生の意味を深く考えたいすべての人々におすすめできる作品です。映像美と音楽、そして俳優たちの熱演が、観る者を物語の世界へと引き込みます。

もう一度検索