As long as I love/Scratch

As long as I love / Scratch（with 稲葉浩志）

「As long as I love / Scratch（with 稲葉浩志）」は、ロックバンド凛として時雨のフロントマンであるTKのソロプロジェクト名義、TK from 凛として時雨として発表された両A面シングルです。2022年3月16日にソニー・ミュージックアソシエイテッドレコーズよりリリースされました。この作品には、B'zのボーカリストである稲葉浩志がゲストボーカルとして参加しており、収録されている2曲全てに稲葉が迎えられています。

制作の背景

本作の制作は、TKが自身のソロプロジェクト始動10周年を記念し、その締めくくりとして企画されたコラボレーションプロジェクトの一環として行われました。TKは、自身の音楽的なルーツやDNAに深く根ざすアーティストへのオファーを検討し、その相手として稲葉浩志に白羽の矢を立てます。オファーの時期は、稲葉がMr.Childrenの桜井和寿との対談動画を公開したり、所属するB'zがサブスクリプションサービスを解禁したりと、コロナ禍にあってこれまでになかった精力的な活動を見せていた頃でした。TKは、このような状況であれば、長年敬愛してきた稲葉に自身の楽曲を聴いてもらえる機会が巡ってくるかもしれない、と考えたのです。TKは、制作していた楽曲の中から最も気に入っていた「Scratch」のデモ音源を稲葉側に送り、その後実際に稲葉との対面を経て、本作の共同制作が実現しました。TKは「Scratch」を送る前に、試行錯誤しながら他に4曲ほどの楽曲を制作していたといいます。

TKがB'zの楽曲を初めて意識的に聴き始めたのは、1991年にリリースされたアルバム『IN THE LIFE』の頃でした。その後、ギターを本格的に始めた頃に発表されたシングル「Calling」やアルバム『Brotherhood』なども深く聴き込み、それらの作品からも音楽的な影響を受けています。

楽曲について

両A面シングルに収録された2曲はいずれも、TKと稲葉浩志の共同作業によって生み出されました。

先に制作され、稲葉へのオファーのきっかけともなった「Scratch」は、ピアノやストリングスを効果的に取り入れたバラードナンバーとして仕上げられました。楽曲の主軸はTKが担いながらも、キーの設定など要所要所で稲葉の意見を取り入れ、確認しながら制作が進められました。TKは、まるで長年のバンドメンバーと制作するようなスピード感で、非常にスムーズに楽曲が完成したと振り返っています。歌詞は、タイアップが決まっていたカードゲーム『マジック：ザ・ギャザリング』の世界観も意識しつつ、「Scratch」という言葉が持つ意味の一つである「傷跡」をテーマに書かれました。興味深いことに、このタイトルの「Scratch」は、デモ音源を稲葉に送った際、稲葉側のエンジニアが仮タイトルとして付けたものがそのまま採用された経緯があります。

もう一方の収録曲である「As long as I love」は、歌詞がTKと稲葉の共作となっています。楽曲の構成においても、ギターとボーカルがユニゾンでスタートするなど、稲葉からのアイデアが随所に反映されています。当初、稲葉はこの楽曲の歌詞も「Scratch」というタイトルで書いていましたが、最終的に一部歌詞を書き直し、「As long as I love」というタイトルに変更されました。しかし、「傷跡」という言葉は歌詞の中にそのまま残され、結果として「Scratch」と「As long as I love」は、同じキーワードである「傷跡」から異なる視点で歌詞が紡がれた、関連性の深い楽曲となりました。

今回の稲葉とのコラボレーションについて、TKは二度とないかもしれない貴重な機会だと語り、レコーディングの瞬間一つ一つを一生記憶しておこうという強い思いを持って制作に臨んだといいます。一方、稲葉も、TKからデモを聴かされるまでは、どのような楽曲になるのか想像がつかなかったものの、一度音源を耳にした瞬間に、抱いていた迷いや不安は全て消え去ったとコメントしています。

リリースとミュージックビデオ

CDシングルの発売に先駆け、「Scratch」は2022年2月17日にデジタルシングルとして先行配信されました。配信開始後、オリコンデジタルシングルランキングおよびBillboard JAPANのダウンロード・ソング・チャート「Download Songs」において、それぞれ初登場で7位を記録しました。

CDシングルの発売日である3月16日には、「As long as I love (with 稲葉浩志)」のミュージックビデオがYouTubeで公開されました。このMVは荒伊玖磨が監督を務め、アオイヤマダと高村月が出演しています。出演した二人は、稲葉浩志が書いた歌詞の世界観を表現するため、企画段階から制作に関わったということです。

収録曲・演奏者

1. As long as I love
2. Scratch

演奏

TK：Vocal & Guitar (#1, 2)
稲葉浩志 (B'z)：Guest Vocal (#1, 2)
吉田一郎不可触世界：Bass (#1, 2)
BOBO：Drums (#1, 2)
和久井沙良：Piano (#1, 2)
河野圭：Strings Arrangement (#1)
鈴原杏：Violin (#1, 2), Viola (#1), Strings Arrangement
吉田篤貴：Violin (#1, 2), Viola (#1)
内田麒麟：Cello (#1, 2)
村中俊之：Cello (#1)

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