B-2ユニット

アルバム『B-2ユニット』の概要

『B-2ユニット』（B-2 UNIT）は、著名な音楽家坂本龍一の2作目となるオリジナルアルバムで、1980年9月21日にリリースされました。このアルバムは、共同プロデューサーである後藤美孝のもと、当時流行していた“ダブ”の技術を駆使し制作されました。前作『千のナイフ』では、西洋音楽の要素が強く表れていましたが、今作は音の質感や色合いに新たな視点を求め、ノイズやメロディーの独特な組み合わせに焦点を当てています。

制作背景

『B-2ユニット』の制作においては、坂本が影響を受けた様々な音楽的アイデンティティが反映されており、特に音色そのものの変化が楽曲の中心的なテーマとなっています。坂本は自身の音楽に対する視点を広げ、音質や響きの繊細さに重点を置いていました。このアルバムのスタイルは、坂本が女性の肌触りをイメージしたと語るほどに、感覚的な表現を突き詰めています。

レコーディングにはギタリストとしてXTCのアンディ・パートリッジ、グンジョーガクレヨンの組原正、大村憲司が参加し、エンジニアにはデニス・ボーヴェルが関与しています。また、レコーディングは東京とロンドンの両方で行われ、豊かな音のコントラストを創出するための重要な取り組みがなされました。さらに、アルバムのジャケットデザインを手がけた井上嗣也のセンスも光ります。

アルバム名の由来

アルバムタイトルの「B-2ユニット」は、後藤美孝が東急ハンズで見つけた米軍放出品の食糧キットに示された缶詰の名前からインスパイアされており、時期によって異なる中身が何もかも特徴的です。

音楽的評価と影響

1980年当時、YMO（イエロー・マジック・オーケストラ）は日本国内で大きな注目を集めていましたが、その状況に嫌気が差した坂本は、アルファレコードに対してYMOに留まる条件でこのアルバムの制作を実現させました。この意図はアンチテーゼの意味合いも含まれており、その結果、アルバムを聴いた高橋幸宏や細野晴臣からは高く評価されました。高橋は「すごかった」と言い、細野は「打ちのめされた」と感想を述べたほどです。

収録曲の特徴

アルバムには以下のような収録曲が揃っています：

1. Differencia: ドラムのビートを刻まない独自のグルーヴが生み出されています。
2. Thatness and Thereness: 坂本自身のヴォーカルが加わった意欲的な曲。
3. Participation Mystique: スネアドラムを自身で演奏し、他の音と融合させた作品。
4. E-3A: 曲名はアメリカの早期警戒管制機から名付けられ、独特のリズムが特徴的。
5. Iconic Storage: 楽音とノイズを行き来するメロディーが尋常ならざる試行錯誤の証です。
6. Riot in Lagos, Not the 6 O'clock News, The End of Europeなどは、音楽的アイデンティティを明示的に表現しています。

総じて、『B-2ユニット』はその独自性から多くの音楽愛好者に受け入れられ、坂本龍一の音楽キャリアにおける重要な一歩となりました。

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