B205 (核施設)

B205：セラフィールドの核燃料再処理工場

B205は、イングランド北部のセラフィールドにあるマグノックス炉の核燃料再処理工場です。この工場では、リン酸トリブチル（TBP）を使用したPUREX法が適用されており、主に使用済み核燃料からプルトニウムとウランを抽出するプロセスが行われていました。最初は英国原子力エネルギー庁（UKAEA）が管理していましたが、1971年には英国核燃料会社（BNFL）に運営が移管されました。

B205の設立は、英国初の核燃料再処理工場であるB204の代替として行われました。これに伴い、B204はB205の前処理工場として再利用されることとなり、1969年に新たに操業が再開されました。しかし、1973年にはB204で重大な暴走事故が発生し、施設と34名の作業員が放射性物質に汚染されました。そのため、B204は1年間の運転停止を余儀なくされ、最終的には閉鎖されました。

B205は操業期間中に35,000トン以上の使用済みマグノックス燃料を処理し、15,000トン以上のウランを核燃料サイクルへと戻しました。マグノックス炉の運転が終了し、使用済み燃料の再処理が完了した2022年に、B205は廃止されました。

再処理工程の詳細

B205における再処理は、主にミキサセトラと呼ばれる装置を使用して行われました。まず、使用済み核燃料は溶解槽に投入され、硝酸によって溶解されます。ここでは液温と酸性度が厳密に制御されており、適切な条件のもとで反応が進みます。溶解された後、溶液は1段目のミキサセトラに注入され、ここでTBPを使った溶媒抽出法によってウランとプルトニウムがケロシンなどの有機溶媒相に分離されます。一方、核分裂生成物などのその他の成分は水相に残ります。この段階でほとんどの核分裂生成物が除去されるため、後続の工程における放射線による溶媒の劣化を防ぐことができます。

次に、ウラン、プルトニウムと核分裂生成物を含む有機溶媒相は、さらに次のミキサセトラに導かれます。そして、液-液抽出を通じて、ウランとプルトニウムを含む水相と、核分裂生成物を含む別の水相に分離されます。また、ウランとプルトニウムは還元剤を使用して、プルトニウムを不溶性の塩として固液分離することで分離回収されます。もし残存する核分裂生成物を除去してさらなる純度を求める場合、追加のミキサセトラを使って先ほどのプロセスを繰り返します。

最終的にウランとプルトニウムはそれぞれ蒸発・乾燥され、次の工程へと送られます。これによって、使用済み核燃料からの重要な資源が効率的に回収され、環境にも配慮した形での再利用が図られました。

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