BAD AGAIN 〜美しき反逆〜

BAD AGAIN 〜美しき反逆〜：聖飢魔IIの反逆の叙事詩

聖飢魔IIの9枚目のシングル「BAD AGAIN 〜美しき反逆〜」は、1990年、バンド結成から既に大きな成功を収めていた時期にリリースされました。この曲は、単なるヘヴィメタルの楽曲という枠を超え、オーケストラサウンドを取り入れた壮大なスケールと、デーモン小暮閣下の作詞による深いメッセージ性が特徴です。

オーケストラとヘヴィメタルの融合

前作に引き続き、イントロダクションではハープの音色が印象的に用いられ、全体を通してメジャーキーで構成されている点が、聖飢魔IIの楽曲としては特筆すべき点です。聖飢魔IIの楽曲は、激しいギターリフとパワフルなドラムが印象的なものが多いですが、「BAD AGAIN 〜美しき反逆〜」では、それらの要素に加え、ピアノや弦楽器などオーケストラ楽器がふんだんに使用されています。

特に、楽曲前半はオーケストラサウンドが前面に押し出され、エレキギターやドラムは控えめな演奏となっています。これにより、楽曲全体に壮大でドラマチックな雰囲気を作り出し、聴く者を惹きこみます。そして、後半に向けて再びヘヴィメタルらしい激しさが増し、楽曲全体に緩急がつけられています。

終盤では、イントロダクションと同様にハープの音が再び登場し、楽曲全体を美しく締めくくります。このオーケストラとヘヴィメタルの融合は、聖飢魔IIの音楽性をさらに広げるものとなりました。

青春の葛藤と反逆の物語

作詞を担当したデーモン小暮閣下自身、この楽曲について「青春時代にありがちな野心と周囲の嘲弄、挫折、それらへの反発、憤りを題材とした」と語っています。歌詞には、若者たちが抱える葛藤や、社会への反発といった普遍的なテーマが表現されています。

また、デーモン小暮閣下は、「主題は自分自身でもあり、聴衆でもある」とも述べており、自身の経験と、聴く者である信者（ファン）の心情を反映した楽曲であることがわかります。これは、聖飢魔IIの楽曲が単なるエンターテインメントではなく、リスナーの共感を呼ぶ力を持っていることを示しています。

大きな成功と復活祭での輝き

「BAD AGAIN 〜美しき反逆〜」は、オリコンチャートで最高5位という、聖飢魔IIのシングル曲としては最高の記録を達成しました。この成功は、楽曲のクオリティの高さと、聖飢魔IIの人気を示すものと言えるでしょう。

2005年の聖飢魔II再集結後に行われた「恐怖の復活祭 THE LIVE BLACK MASS D.C.7」では、この曲が初日のオープニングを飾りました。戸田市文化会館での公演のみ、セットリストの1曲目として演奏され、Sgt. ルーク篁III世によるギターソロで幕を開けました。ルーク篁III世は、この復活ライブでの演奏について、「難易度の高いソロでスタートすると決まり悩みの種だったが、いざ始まったら楽しくなった。信者（ファン）に救われたのだと思う」と語っており、復活ライブでのこの楽曲の重要性を示しています。

RXへの提供と様々な展開

さらに、「BAD AGAIN 〜美しき反逆〜」は、RXのファーストアルバム『CHEMICAL REACTION』にも英詞バージョンで収録されています。このバージョンでは、ジョー・リノイエがボーカルを担当しています。このように、この楽曲は聖飢魔IIにとどまらず、様々なアーティストやシーンに影響を与え続けています。また、日本テレビの番組「全員出席!笑うんだってば」のエンディングテーマにも起用されるなど、幅広く展開されました。

「BAD AGAIN 〜美しき反逆〜」は、聖飢魔IIの代表曲の一つとして、現在も多くのファンに愛され続けています。その壮大なサウンド、そして深いメッセージ性は、これからも多くの人々の心を掴み続けることでしょう。

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