BGM (YMOのアルバム)

アルバム『BGM』について

『BGM』（ビー・ジー・エム）は、日本の音楽グループYMOの5作目のアルバムで、1981年3月21日にアルファレコードからリリースされました。このアルバムの特徴は、メンバーがそれぞれ作詞し、ピーター・バラカンが英訳を担当したことにあります。作曲にはYMOのメンバーである細野晴臣、高橋幸宏、坂本龍一に加え、松武秀樹が参加しており、全体的に洗練されたサウンドを生み出しています。プロデューサーは細野が務めました。

先行シングルはありませんでしたが、後に「キュー」と「マス」がシングルとしてリリースされ、このアルバムは坂本のソロアルバム『B-2ユニット』や加藤和彦の『うたかたのオペラ』などからもインスパイアを受けて作られました。YMOは結成当初、覆面バンドとしての活動を希望していましたが、前作が売れた影響で、その期待に応える形でメンバーの個性を前面に出すことになりました。

細野は本作をYMOのベストアルバムとして評価し、収録曲が今でも色あせることのない音楽的価値を持っていると述べています。また、高橋も、このアルバムは自身が伝えたかったことを歌詞で初めて形にした作品として高く評価しています。オリコンチャートでは最高位2位を記録し、累計27.5万枚を売り上げました。

背景と制作のプロセス

1980年8月、細野はスネークマンショーのアルバム制作に取り組みながら、坂本はソロアルバムの録音のためにロンドンに行っていました。同じ時期にリリースされたベストアルバム『X∞Multiplies』は、日本で逆輸入的に人気を博しました。その後、さまざまなアルバムの制作にメンバーは関与し、多忙なスケジュールをこなしていました。

この時期、YMOはオリジナルの楽曲制作の一環として、音楽的な実験を積み重ねていました。1981年の1月から2月までの約1か月間にわたり、『BGM』のレコーディングが行われました。アルバムタイトルは、細野がベルリンでインスピレーションを得て決定しました。シャワーや風の音、レトロなサウンドを盛り込むことで、聴き手に新しい体験を提供しようとの意図が込められています。

音楽的スタイルと特徴

『BGM』は前作とは一線を画し、おとなしくてダークな印象を与える音楽です。全10曲中の8曲が約4分30秒、2曲が約5分20秒の演奏時間に統一されており、これはジョン・ケージの「4分33秒」を意識したものとされています。また、歌詞の担当がクリス・モズデルからメンバー自身に移行したため、より直接的なメッセージが伝わるようになりました。

音楽性の一環として、デジタルMTR技術を活用した録音方法が採用され、当時の最新の音楽制作技術が反映されています。収録された音楽は、機械的でありながらも生の響きを追求したもので、生楽器はほとんど使われていない一方で、シンセサイザーを駆使した音楽は当時としては非常に革新的でした。特に、プロフェット5とTR-808が特徴的で、リズムと音の層が複雑に絡み合う表現は、聴く者には新鮮な感覚をもたらすものでした。

リリースと反響

『BGM』は1981年3月21日に正式にリリースされ、レコードとカセットテープの2形態で販売されました。初版のレコードには特典として「YMO / BGM」の文字が入った白いビニールバッグが付属していました。その後も何度も再リリースされ、特に1999年には細野によるリマスタリングが行われ、より鮮明な音質で再登場しました。

批評的には、音楽情報サイトや雑誌で厳しい評価を受けることもありましたが、YMOの特異なスタイルやサウンドの革新性が高く評価され、後の音楽シーンにおける影響力は大きいと指摘されています。その後の作品とともに、現代音楽における先駆的な役割を果たしてきたことが確認されています。彼ら自身の音楽とビジュアルの発展に寄与した本作は、今なお多くの音楽ファンに愛され続ける名盤となっています。

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