BISレコード

BISレコード（BIS Records）は、クラシック音楽界において独自の地位を築いているスウェーデンのレコードレーベルです。1973年、ロベルト・フォン・バールによってストックホルム近郊のアケルスベルガに設立されました。設立当初から、その優れた録音技術「Original Dynamics Recording」を駆使することで知られ、特に原音に近い自然な響きを追求した録音スタイルが特徴です。

このレーベルが特に力を入れているのは、北欧諸国やバルト三国出身の作曲家および演奏家の作品の紹介と発掘です。フィンランドの偉大な作曲家シベリウスの全作品録音をはじめ、ニコス・スカルコッタス、カレヴィ・アホ、サリー・ビーミッシュ、ヨン・レイフス、ゲイル・トヴェイト、そしてジェームズ・マクミランといった、幅広い地域と時代の作曲家たちの作品を積極的にリリースしています。これにより、国際的にはあまり知られていなかった優れた音楽に光を当て、新たな聴衆に届ける役割を果たしています。

BISレコードの活動の中でも特筆すべきは、その意欲的な全集録音プロジェクトです。例えば、日本の指揮者である鈴木雅明と彼が率いるバッハ・コレギウム・ジャパンによるヨハン・ゼバスティアン・バッハのカンタータ全集は、世界的にも高い評価を獲得しました。また、ノルウェーのピアニスト、エヴァ・クナルダールによるエドヴァルド・グリーグのピアノ作品全集も、その網羅性と演奏の質で注目されています。さらに、フィンランド生まれの指揮者オスモ・ヴァンスカがミネソタ管弦楽団と取り組んだルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンの交響曲全集も重要な業績です。このベートーヴェン全集は、より高音質を追求したSACD（スーパーオーディオCD）形式でリリースされ、5.0チャンネルのサラウンド音響を特徴としており、約5年の歳月をかけて完成しました。これらの大規模なプロジェクトは、BISレコードの高い芸術性と技術力を示しています。

日本においては、キングレコードのグループ会社であるキングインターナショナルがBISレコードとライセンス契約を結んでおり、同レーベルのCDやSACDの輸入販売代理店業務を行っています。これにより、日本のクラシック音楽ファンもBISレコードの質の高い録音を手軽に入手することが可能となっています。

BISレコードは、その設立から現在に至るまで、優れた音楽を発掘し、最高の録音技術で世界に紹介し続けることで、クラシック音楽界に貢献しています。特に、あまり知られていない作曲家や作品に光を当てる姿勢は、多くの音楽愛好家から支持されています。公式サイトは英語で提供されています。

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